第31話 文化祭2日目(可愛星輝色編)

 あかねとの文化祭は、とても楽しかった。途中ファッションショーに出るとは思ってはいなかったけれど、それも含めてとても楽しい1日目でスタートした。


 今日は文化祭2日目、予定では輝色きいろちゃんと周ることになっている。しかし、輝色ちゃんは最初にバルーンアートの見張りの番になってしまい少し遅れる。


 自分たちの出し物を小さな子供がわらないように見張りをつける必要があるという話になり、2人交代制でバルーンアートを守ることになっているのだ。


 僕も昨日茜あかねと周り終わったバルーンアートの見張り番を、同じクラスメイトの人と2人で実はこなしていた。


「お待たせ、交代の時間なったからもう大丈夫」

「じゃあどこ周りたい?」

「う〜ん。じゃあ、少し喉乾いてるから執事メイド喫茶行ってみようよ」


 多分僕達のクラスで選ばれるはずだった出し物。輝色きいろちゃんがやりたがっていた出し物だけど、本人は今回僕が言ったように楽しむつもりで行ってみたいようだった。


「執事メイド喫茶っていうけど、喫茶店って行ったことないから、どんな感じか分からないな」

「じゃあ私が教えてあげるね!」

「うん。お願いしよっかな」


 嬉しそうにはしゃぐ所は、身長が低いせいか子供のようだった。まぁまだ子供だけど僕も。


 執事メイド喫茶は紫微垣しびえんさんのクラス2年A組の2つ隣のクラス2年C組で行っているようだ。


 飾り付けや衣装はとてもよく凝っていて、執事服とメイド服を着ている男女が接客している。


「いらっしゃいませ、何名様でしょうか?」

「2名です」

「かしこまりました。注文表はテーブルの席にございますので、店内の空いている席に座りごゆるりとお寛ぎください」

「ありがとう、ございます」


 レベルの高い接客の対応に、別の世界へ来てしまったようだ。こういうお店には、よく輝色きいろちゃんは来ているのだろうか。


「輝色ちゃんはよくこういったお店とかには入るの?」

「うん! 姉妹揃ってアニメやこういう所好きなんだよね〜」

「そうなんだ。メニュー表これだよね、何にしようか」


 メニューにはドリンクやパンケーキなどのケーキやドリンクの名前が書かれていた。


「私はね〜、これにするメイプルパンケーキとメロンソーダフロート」

「僕はあんまりお腹空いてないから、オレンジフロートで」


 ご注文を承ったのはメイドさんで、接客スマイルなのは分かっているけど笑顔がとても引き立つ可愛い人だった。


 でもあの人、どっかで見たことあるような気がする。どこで見たんだっけ?


 僕が腕を抱えながら悩んでいると、いきなり隣の客の方が騒がしくなってきた。


「やめてください!」

「なんだよいいじゃねえか、そんな可愛い服にミニスカなんだ。誘ってんだろ?」

「そういうお店じゃありません! それにこの衣装は……」


 どうやら隣のお兄さんが迷惑行為をしているらしい。ひどくなる前に、怖いけど止めに入ろうとしたその時。


「や〜だお客様。店内での揉め事は困ります。他のお客様のご迷惑になります。ですので、違う場所でお話を。この私が承わります」


 止める前に割って入ったのは、さっきメニューを運んでくれたメイドの人だった。


「いひ。そうだな。案内してくれよ」

「はい、どうぞこちらへ」


 笑顔で接客していたメイドの人は、迷惑客のお兄さんを連れて他の場所へ行き話をつけにいった。


 その後の事は分からないけど、あのメイドさんは無傷で戻ってきたので話合いで解決したのだろう。


 しかし、僕はその時見ていた。帰ってきたそのメイドさんが、タバコのように見える砂糖菓子をボリボリと食べながら仕事に戻ったことを。


 だからなんだってんだ? と僕は自分自身にツッコミを入れるのであった。




 ☆☆☆




〈校舎裏〉


「まだ行くのか? こんなところで説教かよ」

「あ? 次はあんたがお兄さんを楽しませてくれんの!? う、苦じっ!」

〜!」


 私の怒りは頂点に達し、いつの間にか迷惑行為をしたお兄さんの胸ぐらを掴み上げていた。


「は、はいーー! すみませんでした!ゲホッゲホッ!」

。さーて!お仕事お仕事〜!」


 私はからに戻し、席を外した分の仕事をした。


 その時、まだ寛いで居てくれたの姿をもう一度見ながらお菓子を食べて。





















































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