第23話 体育祭

 ギラギラに照らされる太陽の光。快晴の青空。今日はまさしく体育祭日和。僕は、熱がでていたのが不思議なぐらい体調がよく。体育祭の準備も順調に進み今日という日を無事迎える事となった。


「僕は日陰で休んでるけど、頑張って!」

「おう! リレーは任せろ!」


 りょうが出るのは、運動会でも定番のリレー。クラスの足の早い人が走ることになっている。


 今、ホイッスルがなり、りょうは3番手。出番が回ってくると急いで位置につき、バトンを渡してくれるのを待つ。


「頑張れ!」


 皆が応援する中、僕が応援する訳にはいかない。無理しないよう、水分補給をし休憩しながら必死に応援した。


 りょうはバトンを受け取ろうとするが、反動で落としてしまう。


 しかし諦めず全力で走り、追い抜いて追い抜いて結果バトンを渡した時には2位だった。


 結果、最後のアンカーが頑張って変わらずの2位に落ち着き、帰ってくるクラスメイトたちを労った。


「頑張ったな! 足やっぱり速いな!」

「もう無理、疲れた〜」

「お疲れ〜」


 今回応援するのは、りょうだけではない。あかね輝色きいろちゃん、そして、この皆が引いている白虎チームの旗を描いた紫微垣しびえんさんも応援するつもりだ。


 確か部活動リレーがあり、りょうも入れて4人共出場するらしい。


「どこかな〜、ユニフォーム多くて誰が誰か」


 部活動リレーに出場する人は、全員部活動ごとのユニフォームを着ており、遠くから探すのは結構大変。


紫微垣しびえんさんは、オーラで分かるけど。あ、りょうもいた。あとは女子サッカー部とボクシング部か。あっ! いたいた。ボクシングの格好見るの初めてだけど、格好いい!」


 それぞれ特徴的なユニフォームで、部活動ごとに行進し、並んでいく。


 この部活動リレーには、他の人にも興味を持ってもらえるようにパフォーマンスも含まれている。例えば、今走っている吹奏楽部は楽器を吹きながら観客席にいる人たちに見せながら走っている。


 りょうあかねはサッカー部なので、サッカーボールを蹴りながらゴールを目指した。ボクシング部の輝色きいろちゃんは、ボクシンググローブを付けて技を披露してから走っていた。あれは、格好よかったな〜。


 文化部である紫微垣しびえんさんは、特に男子から注目されていた。どうやら、普通に走っているようだけど、揺れるでかい胸に皆注目していたらしい。この光景を見た女子は、全員唾を地面に吐き捨てたという。


 そんなこんなで競技全種目終わり、後片付けへと入る。 


「どうだった? 私の活躍は!」

輝色きいろちゃんのでていた騎馬戦は、迫力あったよ」


 輝色きいろちゃんは、騎馬戦にも出場していて、スパーリングしているかのごとくハチマキを取っていた。


「私達の長縄だけど、結構難しいね」

「僕も見ていたけど頑張ってたね」


 クラスでやる長縄跳びは、いいとこまでいっていたところで引っかかる者が多かった。あれがなければ、勝っていたかもしれない。でも、今となってはそれもいい思い出になったのではないかと思う。


 後片付けが終わると、紫微垣しびえんさんもやってきた。揺れる胸が体育祭での出来事を思い出させる。


「どうだったゆっ君! 私のこと見てた?」

「あ、ああ〜うん!」

「格好よかった?」

「そうだね、胸がじゃなくて……部活動リレー! あれがよく走れたねって」

「走るの苦手だから、大変だったよ〜えへへ」


 楽しかった体育祭も終わり、皆と分かれ僕も家に帰っていった。


 僕も運動できる体だったら、ああいった種目に出れたのかな。汗を流して疲れそうだけど、それでも皆最後には笑顔で笑いながら。


 もしもという想像を膨らましながら、まだやりたいことが見つからない僕は、家で体育祭の事を家族で楽しく話しながら夜ご飯を食べるのだった。




























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