第21話 朝からメンヘラ

 あの騒動から数日、手のひらの怪我は治った。もう、体育祭準備も始まるだろうというこの日。そう、この日だけ僕の生活は破滅する。


 今日も朝早くに起きて着替え、いつものように薬を飲んでご飯を食べ学校に行く。


「お・は・よ・うっぶ!」


 僕は彼女、なぜか家の前の至近距離にいた紫微垣脆音しびえんもろねを開けたドアで引っ叩きながら閉じた。


「あ、ごめんね。いきなりいたからびっくりして。え……」

「だ、大丈夫! えへへ」


 鼻の穴両方から鼻血を出して尚笑っていられる人を、僕はきっと大丈夫とは言えない。


「大丈夫じゃないでしょ!? ティッシュ持ってるから使って?」

「ティッシュは持ってて! オ○ニーするでしょ?」

「さっきどこかドアで頭打ったでしょ! どこ心配してんだよ! 自分の心配しろよ! 僕を何だと、ゴホッゲホッ!」


 興奮しすぎたせいで咳がでてしまう。おまけに心臓に負荷がかかり胸が苦しくなる。朝からこんな事になるとは、今日はついてないな。


「だ、大丈夫?」


 誰のせいだと思いながら、深呼吸して心を落ち着かせ息を整える。落ち着いた後、仕方なく一緒に登校することにし家を出る。


「もう、大丈夫。それより、何で家の前にいたの? ていうか、家の場所教えてないよね?」

青島あおじま君に聞いたの。一緒に登校したくて。だって私とゆっ君は、幼稚園の頃から付き合ってるから。か、彼女だもん! えへへ」

「な……」


 僕は耳を疑った。しかし、あのつい最近思い出した記憶。あれが、今の言葉の全ての原因だとしたら、責任は僕にあるかもしれない。


「あ、あのさ。僕たち、付き合ってないよね?」

「え……」


 僕から地雷を踏み抜いてしまった。過去の自分の行いが、今の現状を作り出していることに焦り、ついポロッと口に出してしまう。


「じゃあ、私……死ぬね」

 

 彼女の光を失った冷たい目と笑顔で、またあのずるい言葉を言い放つ。そして、道路に向かって倒れ、まるで守ってね? とでも言うように安心しきった顔で。


「いや、させねえよ!」


 続けて心臓の鼓動が跳ね上がる。胸を抑えながら、彼女の腕を掴み阻止した。こんな事で人の命が消えてたまるか! そう僕の心の中で叫び散らかした。


「大丈夫?」

「はいはい、大丈夫大丈夫」


 僕はまた一休みしてから、諦めてとりあえず一緒に登校した。しかし、登校した際に何も起きない訳が無かった。


ゆうお前さ、彼女できたのか?」

「できてない、できてない」

「そうか、説得力ないぞ」

「はぁ〜」


 ホームルームの時間。体育祭に使われる白虎チームの旗の絵が決定したらしく、先生が発表した。決定した絵は、2年A組の人が描いたもののようで、嫌な予感がした。すると予感は的中し、紫微垣脆音しびえんもろねが描いた絵が何でか選ばれた。その絵にはもはや白虎の姿や形も無く、どす黒い何かが蠢いているようにしか見えなかった。



 ☆☆☆ 



〈昼休み〉


 一緒に登校してきたのがいけなかったのか、紅井あかいさんと輝色きいろちゃんが一緒に昼ご飯を食べているというのに、こっちを睨みつけながらガツガツと食べている。


「あの、なんで怒ってるの? 特に紅井あかいさん」

「な、なんで私だけ!?」

輝色きいろちゃんが怒るのは、なんとなく分かるんだけど。紅井あかいさんとは、何も無かったような」

「もう! 知らない!」


輝色きいろちゃんや紅井あかいさん2人共が起こってしまい、僕はどうすればいいのかと悩む。りょうはというと、この状況の中で関係ないとはいえ、先に弁当をすまていたのだった。


 放課後、僕は家に帰り今日のとてつもない疲れを癒やした。


 僕は体育祭には参加できないけど、体育祭が始まる前にこの疲れは誰でも堪えると僕は思った。


 明日も学校がある。今日のところは早めに寝ることにするのだった。


「こんな毎日を送っていたら、心臓強くなったりして。ってまさかな、あはは」



 ☆☆☆



 翌朝、目が覚めるとやけにだるく、咳が止まらない。熱を測ってみると、38℃。最近は無かった風邪だった。
























































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