第9話 夢の続き

『ママ。外で遊びたい』

『駄〜目。大人しくしてないと、治る病気も治らないでしょう?』

『……』

『ごめんね。辛いよね。そうだ!今度いいもの夜に持ってきてあげるわ。だから、早く治るようにもう寝なさい』

『いいもの! まってる〜』




 ☆☆☆



〈夜〉


『ほ〜ら、持ってきたわよ!』

『なにこれ?』

『絵本よ〜、読んであげよっか?』 

『えほんすき〜! よんでよんで〜!』

『じゃあ読むわね。「星に願いを」

 ある日、好きな女の子がいる男の子がいました。その、男の子は好きな女の子といつでもどこでも仲良しでした。しかしある時、その仲良くしていた女の子は運悪く交通事故で死んでしまいました』

『かわいそう!』

『うん。そうね。でも、この物語には続きがあるの。仲良くしていた。大好きだったその女の子ともう1度会いたいと強く思った男の子は、夜空の流れる星に願うの。あの女の子を生き返らせてってね』

『どうなるの〜?』

『うふふ。するとね、輝く赤、黄、紫、緑、橙の色の星が語り始めるの。生き返らせる為には、私達5つの星の力が必要。しかし、力を使うためには依代が必要なのだ。生き返らせたいのが女の子であれば、協力してくれる女の子を5人集めよ』

『お星さますごいね!』

『ええ、凄いわね。優心ゆうしんなら、何お願いする?』

『う〜ん、内緒〜』

『そっか内緒か。残念。じゃあ、続き読むわね? 協力してくれる女の子をなんとか見つけ、夜になり星空に男の子は語りかける。お星さま、依代を準備しました。お願いを聞き届けてくれますか?』

『どうなるんだろ〜?』

『それはね、お星さまが5人に乗り移って力を使い、女の子は無事生き返ることができたの。そして、男の子は協力してくれた女の子にお礼をいって、生き返った大好きな女の子と楽しく暮らしましたとさ。お終い』

『女の子たすかってよかったね! ぼくもお星さまにねがったらなんでもかなえてくれるかな?』

『もちろん! 優心ゆうしんもどんな子にでも優しくできる、いい子になるのよ』

『うん!』





 ☆☆☆






 今回は、物凄く長い夢だった。けど、やはりあの頃の記憶を全ては思い出せない。でも、絵本の事はよく覚えている。というのも、絵本は眠れない時に小学生の時にも読んでいたから。多分、お話が印象的だったからだと思う。


「絵本か、最初の夢と関係あるのかな? 学校終わったら探してみるかな絵本。まだあるか分からないけど」


 気になることが増えるが、とりあえず置いといて薬を飲んで学校に行くことにする。


「あ、優心ゆうしん、もうすぐ夏休み入るでしよ?その前に、1回病院で定期検査しときなさいよ?」

「分かったよ母さん。なるべく早く行っとく。じゃ、行ってきます」

「行ってらっしゃい」


 学校についた僕は、自分の教室に行こうとする。すると、どこかで見たような気がする女子が2階へ上がる階段から降りてきた。目には酷いクマができており、ワカメみたいな所々寝癖のように跳ねた髪型。もしかしたら、昨日見かけた公園の女の子かもしれない。しかし、あの時は背中しか見えなかったので、あの時と同一人物かどうかを確認することができない。ホームルームに遅刻するわけにもいかない僕は、そのまま通り過ぎて自教室に行くのだった。






 ☆☆☆






 あの後、なんとかホームルームに間に合い、担任の先生に怒られずに済んだ。今は、1限目の授業がちょうど終わった時間。


「そういえば、あの人授業大丈夫かな?」

「あの人って?」

「うん?ああ、今日登校した時に授業前なのに、2階から1階に降りてきて変だな〜と思って」

「どんな人か分かるか?」

「え〜とね、目のクマが酷くて、寝癖でワカメのような髪型になってるロングヘアーの人かな」

「あ〜、それ美術部で有名な人だね」

「美術部?なんかあったっけ?」

ゆうは噂とか興味ないもんな。なんでかは知らないんだけど、絵を必死に描く練習してて、その人の絵を見ると祟が起こるとか呪いがかかるなんて噂がある。あと、妄想癖と独り言が多いとか誰かが言ってたな」

「ふぅん、教えてくれてありがと」


 りょうに教えてもらった情報からして、近づかない方がいい事は誰にだって分かる。しかし、この時僕は知らなかった。噂以上に怖いものがこの世にあるという事を。





























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