第4話 学校案内

 入院してから何日か経ち、無事に退院する事ができた。入院して寝ている間、あの星空の下で会う女の子がでてくる夢の続きが気になっていたのだが、流石にそう簡単に関連する夢を続けて見ることは叶わなかった。


 平日の朝、いつものように薬を飲みご飯を食べて、親に「行ってきま〜す」と挨拶をして学校に行く。こんな当たり前のことが僕は毎回なんというか、言葉に表すのは難しいけれど大切にしたい。そう思えた。


 こんな事を考えながら登校している間にりょうと合流し、一緒に登校する事に。


「退院おめでとう。もうあんな唐突に倒れるとかやめろよな。と言っても、どうしようもないんだろうけど」

「心配かけて悪かったな。気をつけるよ」

「それにしてもよ、何が原因で倒れたんだ? 普通に弁当食べてただけだろ? 皆で」

「あははは! っと深呼吸深呼吸」


 可愛星かわぼしさんのスカートから見えた純白パンツをたまたま見てしまい動揺で心拍数上がったからなんて正直に言えるわけがなく、笑ってごまかすしか無かった。


「そんなことよりさ! 可愛星かわぼしさんのパ、じゃ無くて! 学校案内! 学校の校内を案内する約束してたんだけど、一緒に来ない?」

「いつやるんだ? 昼休みか? でも、校内広いから放課後の方がいいだろう。俺や多分、紅井あかいも部活あるから、悪いけどお前に任せるよ」

「分かった。練習頑張って」

「お前こそ、女子と一対一だからって緊張するなよ?」

「いや、緊張するよそりゃ」


 実を言うと僕は、ほとんど付き合いの長いりょうと一緒に話すときが多い。女子とは喋れなくもないけど、一対一だと何を話せばいいのか分からなくなる。りょうがいて欲しかったけど、今日は自身の力で頑張るしかないらしい。


 ていうか僕、りょうに依存してない? 大丈夫かな。


 うまく案内できるか不安になりながらも、あっという間に時間は過ぎ、放課後に突入した。


「ごめんね。案内遅くなって」

「いえ、そんな。あんな事があって私も、案内の約束してたのを言われるまで忘れてたので」

「だよね。心配させてごめんね。もう大丈夫だから」

「あ、そういえば結局倒れた原因って」

「あーー! 一番下の階に職員室あるからさ、先にそっち案内するよ」

「は、はい……」


 僕は過去の罪を誤魔化し、校内の案内を始めた。この学校は校内が広く、部活動関連のものが多い。どういうことかというと、例えばテニス部の使うテニスコートやボクシング部や柔道部などが使う道場やコートなど沢山部活動で使われている施設があるのだ。


 文化部などは空いている教室を借りて活動を行っているけどね。


 ちなみに僕たちのクラスは、3階の2年E組。クラスは結構多い方だと思う。全てを知っている訳じゃないから、このぐらいかな?


「どこか分からない所ある?」

「いえ、大丈夫です。ありがとうございます。それよりも、すごい汗ですよ?」

「はぁ〜ふぅ〜」


 ここまで案内してなんだけど緊張する。いちいち深呼吸しなければ話せない。それに、可愛星かわぼしさんが可愛いからか、残って作業している生徒や部活動している人がこっちを見てくるので余計に緊張する。


「もう夏ですもんね、あそこのベンチで休憩しませんか?」

「そうですね」


 直ぐ側にの日陰のあるベンチに腰を下ろす。体力のない僕が校内を案内するのは確かに疲れたので、可愛星かわぼしさんの優しさに感謝する。


「ごめんね。心臓が弱いから運動やりたくてもできなくて、体力ないから疲れやすくて」

「大丈夫ですよ。でも、気になるんですが、ならなぜ自分から学校案内をしようと思ったのですか?」

「実はね、女子の友達って初めてのことなんだ。紅井あかいさんも同じクラスメイトだけど、話したのはあの時が初めてでね」

「そうだったんですね」

「だから、少しでも仲良くなれたらなと思っ」

「きゃーー!」


 真面目に話をしていた所。いきなり変な風が彼女、可愛星輝色かわぼしきいろを襲った。


 強い突風がいきなり吹き抜け、可愛星かわぼしさんのスカートがめくれる。


「どうしっゲブルブベバッ!」

「見ないでっ!」


 強い風のせいで目にゴミが入り、彼女がなんで叫んでいるのか分からない。


 叫びだす彼女の方を向こうとすると、いきなり彼女の拳が僕の頬に直撃。筋トレをしてこなかったというよりできなかった僕は、そのまま後方にぶっ飛ばされた。


 この時、あの小さな体にどこからそんな力があるんだと、ぶっ飛ばされながら微かにスカートの中から見えた彼女の純白のパンツを見ながら思ったのだった。





























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