第3話 パンツから病院送り

「ねぇ可愛星かわぼしさん、転入してきたばっかだからさ、この学校のことよく分からないでしょ? 今日の昼休みに校内を案内しよっか? もし、よかったらだけど」

「はい! 助かります」

「じゃあお昼休みに、昼食をりょうたちと一緒に済ませたら行こっか」


 学校に来て浅い彼女はまだ校内のことをあまり知らないため、学校案内をすることにした。まぁ、あの日の昼休みの騒動を密かに見ていた担任から仲良くなったところを見られていて、案内するよう頼まれたのも1つの理由だ。



〈昼休み〉


りょうの弁当美味しそうだな。揚餃子とか絶対美味しいやつじゃん。でもニンニク臭くならない?」

「ニンニクは流石に入れてないと思うぞ。学校用だし。そういえばお前、餃子好物だったよな」

「あぁ、パリッとするハネ付き。何といってもジューシーなのがいいよな」


 昼休みになり、今は昼食をとっている。今一緒に話しているりょうの他にも、可愛星かわぼしさんと紅井あかいさんも空いている席を借りて一緒に昼食を楽しくとっている。


可愛星かわぼしさん、それだけで足りるの?」

「うん。私あまり食べないから」

「なんか女の子らしくて可愛いね。あたし部活入ってるからさ、お腹空きやすいの」

「部活って何やってるの?」

青島あおじまと同じでサッカー部」

「凄い! 格好いいね!」


 可愛星かわぼしさんと紅井あかいさんの会話が弾んでいるのを見て、僕は誘って良かった仲良くなって良かったと心から思えた。


(この次、校内案内あるから時間ある内に早く食べ……あ、ミートボールが)


 僕が食べようとして落としたミートボールを拾おうと、机の下を覗く。すると、可愛星かわぼしさんのスカートが何かの拍子でめくれてしまっていて、純白のパンツが見えてしまう。


(パパパッ! パパパッ! はぁはぁ、はぁ やばい胸が!)


 パンツという言葉すらまともに言えない程に、いきなりのアクシデントに驚き心臓発作が起きる。


 気を失う寸前見たメーターは、80よりも高くなっているのが見え、そのまま気を失うのだった。





 ☆☆☆






「? やけに落としたミートボールに手間取ってるな。どうした?おい。返事しろよ! おい! くそ、メーターは…… !? 可愛星かわぼしさん携帯持ってるか!」

「どうしたんですか? そんなに慌てて」

「救急車を呼んでくれ! 呼吸が止まってるんだ早く!」

「なんで……そんな……」


 僕の異変に気づいたりょうは、可愛星かわぼしさんに救急車を呼ぶよう頼む。途中でトイレに行っていた紅井あかいさんも帰ってきて騒動に気づき、りょうは彼女に先生を呼ぶように伝えた。


「一応警察も呼びました。原因が分からないので」

「あ、そうか。転校してきたから知らないんだよな。ゆうはな……小さい時から心臓が弱いんだよ。俺があげた心音メーターも上がってるから、きっと知らないところでアクシデントが起こって心臓に負荷が……」


 りょうは倒れた僕の事を説明し、僕は救急車で運ばれた。なんとか一命を取り留めたが、遠分は様子を見ながらの入院ということらしい。


 両親が心配しながら来てくれたことは、今でも覚えている。こういうことは、前にもあったから安心させたいけど、こればかりはどうすることもできない。今日もベッドで横になっているが、扉からノック音がしたので返事をする。すると、入ってきたのは心配してきてくれた友達だった。


「元気そう、というのは変な感じか?」


「良かった〜。ちゃんと生きてますよね?」


「だ、大丈夫……なの? べ、別にそこまで心配とか、じゃないんだからね!」


 りょう可愛星かわぼしさん、そして意外にも紅井あかいさんも来てくれたようだ。


「来てくれてありがとう。嬉しいよ」

「たく、心配させんなよな。俺たちいなかったら死んでるぞ多分」


 りょうは今回で2度助けてくれたことになる。というのも、小学生の時に心臓発作で倒れた俺を見つけ、先生に伝えて助けてくれたのだ。前から心臓が弱いことを知っているとはいえ、りょうには心配も苦労もかけてしまったようだ。


「本当ですよ! すごい心配してたんですから。特に紅井あかいさんが」

「ちょっと! 何言い出すのよ!」


 可愛星かわぼしさんにも心配されていたらしい。まだ出会って間もないのに優しい人だと思う。それにしても、紅井さんの様子がおかしい。


「なんでも、夜色やしき君が拾おうとしたミートボールが倒れた時にか知らないんですけど服についてて、それを紅井あかいさんが血だと勘違いしちゃったみたいなんです。だから、涙目になりながら心配を」

「恥ずかしいから言わないでって言ったじゃん!」


 彼女達にも心配させてしまったので謝るが、「心臓が弱いんですよね? 青島あおじま君から聞きました。どうせなら、謝るよりも元気な姿を見せてください。そのためにも、安静にしてくださいね」と可愛星かわぼしさんに言われた。紅井あかいさんには、「早く治らないと、可愛星かわぼしさんが暗い顔のままだし早く治しなさいよ? それと、1つだけ言っておくけどあたしは泣いてない!」と本当にあの時は恥ずかしかったようだ。


 僕の元気そうな姿を見て安心した後、病室から皆出て行った。僕は安静にして早く治そうと毛布をかけ寝ようとする。すると、部屋の外から誰かが転ける音がし、「あう〜」と呻く可愛星かわぼしさんの声が聞こえた。


 この時に思ったのは、何にもない所で転けたのだろうか? と自分よりも、最近できた友達の心配してしまう僕なのだった。





































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