第85話 話し方
翌朝、朝食を済ませた俺達は、早々に町へ戻ることにした。
俺の体調に問題がない事が確認出来たため、とりあえず顔を見せに戻ろうという話しになったからだ。
"
ゼーンの親父さんがそう云ってくれた。
「親父さんありがとう、ございます。手間をかけてしまうけどお願いします。」
"むう…
俺が礼を言うと、
「えと、何かまずかった…ですか?」
"いや、なに、改まった言い方をされると、何となく
「え、俺としては楽だけど、落ち着かないって言うのは何で…。」
"お前が丁寧語を使うと慣れていないのが丸分かりなうえ、感情が上滑りして言葉が響いてこんのだ。それ故、聞いていて違和感が強くなる。"
親父さんの思いがけない言葉に戸惑っていると、爺さんが俺の疑問に答えた。
「なんか
"酷いのはお前の言葉遣いだ。直ぐにとは言わんが、上位者に対する話し方は身に付けておけ。今は身内の
ぽつりと溢した感想に、呆れた口調からお小言まで貰う羽目になった。
「…まあ、おいおい努力する…。」
"あてにならなそうな返事だな。"
渋々と返すと諦めたような口調とため息が返ってきた。
俺は
「お二人ともそのくらいに。」
「せっかく
アルミーとジェミオが俺と爺さんの遣り取りに制止をかけ、話しを戻す。
「じゃあ改めて、親父さん、頼みます。」
"うむ。"
「ところで、親父さんを呼ぶ方法ってどうしたら?」
"庇護者達には我が体毛より編んだ護符を渡してあるが、其方ならば一の子との繋がりがある故、一の子を通して呼べば良い。"
"離れててもオレ、ヴェルデの声なら聞こえるから!"
ついさっきまで俺と一緒に行きたいと云っていたゼーンは、親父さんから転移を始め、諸々の事を学んでからにしないと俺を手伝うには力が足りないと言われ、素直に諦めた。
"オレ、頑張って出来るだけ早くヴェルデと一緒に転移出来るようになるから!"
そう宣言した時のゼーンの瞳は、剣士を目指す宣言をした時のフィオを思い出させた。
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