第84話 指揮者命令
「込められた魔力が続く間であれば、どこまででも。だが、感覚を
俺の問いに爺さんが答えた。
「核が別のものなら…というか、分体で旅をすることは出来ないのか?」
改めて聞き直すと、爺さんは苦笑を浮かべた。
「そんなことを考えておったのか。お前の住む町で数日滞在するというならともかく、かの国のあった場所までというのは流石に不可能だ。分体というのは魔力を失えば消失する。本人が
「……。」
「私の事はいい。頼み事をしておいてこういうのもなんだが、お前はお前の望むまま、己に恥じぬ生き方をすればいい。」
もしかしたらという思いで聞いたが、やっぱり無理らしい。
それでも何か方法はないのかと思考を巡らせる俺の頭に手を載せた爺さんは、好きに生きろと言った。
「さて、私も休むとするか。お前も目覚めたばかりだ、早めに休むといい。」
「…寝過ぎて、寝らんないよ。」
小さく息を吐いた爺さんは、ぽんぽんと俺の頭に触れた後、ふわりと溶けるようにその姿を消した。
「…
ぽつりと呟いた俺は仰向けに寝転ぶと、舞い踊る光珠達を眺めながら、思考の海に沈んだ。
暫く考えていたが結局いい案も浮かばず、焚き火の傍へ戻りジェミオに火の番を変わると告げると、予想外の返事が帰ってきた。
「交代はいいからお前は寝ろ。
「いや、もう大丈夫だって。」
「そうかもしれんが、俺達が安心出来ない。幸いここなら周囲の警戒も必要ないからな。今日のところは寝ろ。」
そうまで言われてしまうと散々心配かけた手前、嫌だと言える筈もなく受け入れるしかなかった。
「…分かった。」
そう返事をした俺は、アルミーの近くで横になった。
先程の
爺さんが魔法で作った
俺も使えるなら今度教えて貰おうか、さっきの分体も使えたら便利だよな等と考えているうちに、気がつけば眠っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます