第83話 精霊の灯火
木々の向こうに広がる
空に
俺達は食事を済ませると、
今、眺めているのは三人と一頭。
ゼーンの親父さんは俺達との話しを終えると、奥さんと他の子供達の元へと帰って行った。
「綺麗だよな。」
"うん。"
「こんなに沢山の精霊が飛び回る姿なんて、そう見られるもんじゃないな。」
「ただでさえ精霊を間近で見ることは滅多に無いんだ。ましてや夜なんて、冒険者か幸運な旅人ぐらいしか精霊の
優しい光景に
「どれ、私も
そう言って人の姿をとった爺さんが隣に腰を下ろした。
「その声はトニトルス殿。」
「そのお姿が話しにあった人化というものですか。」
ジェミオとアルミーの二人が驚きの表情を浮かべながらも、目の前の人物が爺さんであると理解しそう言った。
「ああ、この姿は人化した時と同じだが、今のこの体は魔法で作り出した分体だ。」
爺さんはひとつ頷きながらそう答えた。
「
「普段はこれほど多くの
「そうなのか?」
「精霊達もお前達が助かったことを喜んで浮かれておるのだ。」
俺の言葉に爺さんが苦笑してそう言う。
それを聞いた俺は、近くを飛んでいた光珠へそっと手を伸ばす。
光珠は驚いたのか一瞬距離をとったが、直ぐに近づいてきて
「いろいろとありがとな。」
そう感謝を伝えると光珠はくるくると回った後、ふわりと飛び上がった。
その様子を見上げていると、幾つかの光珠が傍に寄ってきたので同様に感謝の言葉をかけると、さっきと同じようにくるくると回って飛んで行く。
"ヴェルデって精霊にも大人気だね。"
「俺が爺さんの血縁だからだろ。」
「本当にお前は素直なんだか、そうでないのか…」
ゼーンとの会話に爺さんが溢すのを聞き流していると、ジェミオとアルミーが静かに立ち上がった。
「それじゃ、先に火の元へ戻るぞ。」
「俺は先に休ませて貰うよ。」
「ああ、もう少ししてから戻るよ。」
そして暫くの間、会話も無く過ごしていると、気がつけばゼーンが眠っていた。
流石にまだ子供だ。疲れたんだろう。
そっとゼーンを撫でながら、爺さんに聞いた。
「なあ、爺さん。分体って本体からどの程度までなら離れられる?」
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