第29話 探索
「ヴェルデが正気に戻ったところで、昨夜の報告と今後についての話をしようか。」
さっきまでの雰囲気を一転、さばさばとした様子でアルミーが言う。
いや正気に戻ったって、酷くないか?
まあ、さっきまでの醜態を蒸し返したくないから口にはしないけどな…って、うん、取り敢えず忘れよう。
さっさと気持ちを切り替えないと。
ここはガルブの森で、
「二人が寝た後、一刻程して北側の少し奥で
「交代してからも同じような感じだったな。これはやっぱり
アルミーの報告にその後の様子を補足したジェミオが思案する。
「可能性は高いだろうが、そうだとしても活動が無さすぎると思うんだが。」
「
「森の魔力? どう言うことだ?」
「森全体の魔力が通常よりも濃いんだ。昨日、
「それは森の魔力が変質しているってことか?」
俺の言葉に、ジェミオが確認を取る。
「いや、森そのものの魔力はそのままで、別の濃い魔力が混ざって漂ってる。水にインクを垂らして軽くかき混ぜたような感じって言ったら解りやすいかな? 若干の濃い薄いはあっても全体に広がってる感じ。」
そう説明すると、二人が成る程と言った表情になった。
「それで、その濃い魔力が魔物達の活動を抑制してるって言うのはどういう状態なんだ?」
アルミーが続きを促す。
「混ざった魔力が濃すぎてっていうか…格上の種の波長みたいなものがあって、弱い魔物ほど生存本能を刺激されて息を潜めてるような状態になってるんだと思う。」
「自分より強い
「ヴェルデの話のとおりなら、その濃い魔力の持ち主が何なのかが解れば、今後の手だてが打てるってことか。」
二人は俺の話に頷いてそう言った。
森の状況の推測が立ったところで、この後の行動予定の話になる。
「濃い魔力つまりは強い魔力の持ち主を探すって事は、現状からいって
「しかたない、一番可能性が高い
「魔力の持ち主が見つかっても、見つからなくても夜にはここへ戻るようにしよう。」
あっという間に行動目標が決まった。
まあ、状況的にそれ以外の対象に心当たりはないからな。
「それならとっとと此処を片付けて動くとするか。」
ジェミオの言葉に俺達は動き出した。
◇ ◇ ◇
夜営場所に馬を置いたまま、町の方角へ徒歩で四半刻程を戻った俺達は、森の中域へ向かって進んだ。
少し戻ったのは、昨日
助けた
なので、中間とまではいかないが少し町寄りの場所から奥に向かうことにした。
森に入ってから一刻ほど、俺やジェミオの感覚にも、アルミーの『
「これは不味いかも知れん。」
ジェミオがポツリと溢した。
「まだ中域にも入って無いとは言え、一度も襲われないなんてあり得ないな。」
アルミーが頷きつつ答える。
俺も二人に同感だ。
一昨日の森であればまだ
原因が無くなったとしても、無くならなかったとしても反動が怖い。
下手をすると抑圧された魔物達の
出来るだけ早く原因を突き止めて、原因を取り除くことが出来るのかどうかを確認しないと。
一時的な滞在であれば、
伝え聞く
昨日のような状況ならともかく、遭遇していきなり襲われることはないだろう…無いと思いたい。
ところで
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