第8話 武器屋にて
武器屋に向かう道すがら、屋台で朝食を買う。
今朝は
買った二つを腹に納めると、通りを真っ直ぐ進み、武器屋に向かった。
◇ ◇ ◇
武器屋に入ると中には客はおらず、店主の親父さんがカウンターの奥で
この店は知らない者が入ると必ず驚く。何故ならここは
親父さんのこだわりで、武器を使う本人が直接来て、欲しい
出された
だが、親父さんの目利きは確かで、選んだ
俺は何もない広々とした店内のカウンター越しに声を掛けた。
「親父さん、魔力通せる剣ある?」
「
親父さんはこちらを
俺は黙って折れた剣を鞘ごとカウンターに置いた。
親父さんは作業の手を止め、置かれた鞘を手に取り剣を抜いた。
折れた剣を見た親父さんが無言のまま強烈な
背中に冷たい汗が流れるが、親父さんから目を離さず耐える。もしここで逃げるような奴は、二度と客にはなれない。
ひたすら耐えていると、少しだけ
「何をして折れた。」
「昨日、森で
答えた直後、
俺はホッと息をつくと、店の奥に剣を取りに向かう親父さんの背中に希望を告げる。
「今の俺が扱える中で一番の剣が欲しい。」
足を止めた親父さんが振り返り、目で理由を
「買うなら今持てる最上の物を選ぶように助言を貰った。」
「…リュネか。待っていろ。」
親父さんは俺の答えに目を
黒曜石のような
「手にとって抜いてみろ。」
言葉を無くして
俺は手を伸ばし慎重に剣を取ると、そっと鞘から抜いた。
現れたのは白銀の剣。
その姿を見て一瞬呼吸をするのを忘れたが、ふと剣が自身の手に馴染んでいることに気付く。
先程から感じている存在感はそのままに、まるで以前から使っていたような感覚があった。
「やはり馴染んだか。」
親父さんの声に我に返る。
「親父さん、この剣は一体。」
「この剣は
「……は?」
言われた言葉の意味が理解できず、間抜けな声が漏れた。
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