第6話 家主の助言
鐘の音で目を覚ます。
鐘は日の出から、日の入りの間で五回鳴る。
いつもなら一の鐘が鳴る前に起きてギルドへ向かうんだが、俺も昨夜は少し酔っていたらしい。
目覚めがいつもより若干遅かった。
昨夜は夜半過ぎまでフィオに付き合った。
酔ったあいつをギルド近くにある
そして明日あたりに依頼の話を持ちかけてくるのは
明日あたりなのは、恐らく二日酔いで今日はまともに動けないだろうから。
俺も今日は
依頼をこなした後は、必ず
身体を休めることはもちろん、武器の手入れや消耗品の補充、長期の依頼後は不在時の情報の収集など、
その必要性と内容については
それに昨日剣が折れたからな。
新しい剣をどうにかしないと。
いくら魔法が使えても、囲まれたり魔力が尽きればどうにもならない。
とりあえずは武器屋にいってみるか。
今日の予定を考えながら部屋を出た。
◇ ◇ ◇
部屋を出て階段を下りると、一階は売場になっていて、壁際の棚には
ここは
「おはよう、リュネさん」
カウンターの椅子に座って気だるげにしている女性に挨拶をした。
「おはよう、ヴェル坊。今日はゆっくりだね。」
リュネさんは気だるげな様子に反して、しっかりした
俺を『ヴェル坊』と呼ぶ彼女は落ち着いた
というのも彼女は平均寿命が三百年前後というエルフの血筋らしく、成人してから寿命を迎える五十年前程までは殆んど
なので年齢は俺も知らない。
「それ以上は覚悟してから考えなよ、ヴェル坊。」
「…あ、はい。なんでもないです。リュネさんは今日もお綺麗だなと。」
「まあ、
俺の周りの女性は勘が良すぎると思うのだが、みんな
「付き合いの長い連中なら、あんたの考えることなんてお見通しさ。」
リュネさん、
「ところで今日はどうするんだい。」
「今日は
「…ふうん、そうかい。剣がね…。」
俺の答えにリュネさんは小さく呟くと、何かを考え込むような様子で黙ってしまった。
何か言われるのかと待ってみたが、何の
店の入り口の扉に手を掛けたところで、リュネさんから声が掛かった。
「ヴェル坊、剣を買うなら今手に入れられる最上の物を選びな。」
振り返ると真剣な瞳をしたリュネさんがいた。
リュネさんには昔起きたことや、これから起こる事が見えることがある。
自由に見られるものではないらしく、使い勝手が悪い力だと以前に話してくれた。
だが、彼女が見るものは大きな出来事に繋がっていることが多い。
「分かったよ。ありがとう、リュネさん。」
俺は礼を言って扉を開けた。
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