第192話 睫毛の線香花火

君の睫毛の先で線香花火が光を散らしている。

それに見入っているとよく不思議がられた。

説明しても何それと笑われるばかり。きっと幻覚なのだ。


十数年経った頃。

風が吹いて光が掻き消え、僕は君が旅立ったとすぐ理解したなと、線香花火を手に思い出した。

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