俺はソロ◯◯で陰キャなのをやめさせられました……かな?

本田 そう

第1話

 人はなんであんなにたむろってんだろう……

 なんであんな人混みになんかにいくんだろう……

 


 なんて思ってましたよ、今までは!

 そもそも陰キャラの俺、夕方ゆうかた深夜しんやは、十八年生きて来て初めての経験を……経験を……



 「私が!この私が言っているのよ!早く返事をしなさい!」



 なんか怒ってないかな?この女子、いや邑楽おおらかアイは。

 て、なんで邑楽が怒っているかと言うと、こいつは今この俺に、告白なるものをしているのである。



 えっ?告白?じゃ女子は恥ずかしそうにするのでは?



 ですよね〜、普通は。

 けど、この邑楽かに関しては普通は通用しません。本当に。

 だってこいつ、ツンですよツン!、初めてこいつの性格を知りましたよ。

 あっ、けどなんでこいつに告白されてるかって?

 それはですね〜……



 「貴方ねえ!私を助けたのなら最後まで責任取りなさいよ!」


 「えっ?責任?」


 「そうよ!責任!」



 邑楽こいつの言っている事に理解できません。因みに邑楽を助けたのは紛れもない事実。事実?いや実は、新作ゲームをネットでは買えなかったので、街の店に行く途中に無理矢理男三人にナンパされそうになった邑楽こいつを……

 あっ!付け加えいいますが、邑楽は結構な美少女なんですよ。髪が綺麗な黒髪でスタイルも良く、男子からの憧れの女子。

 俺もよく、男子からの告白場面を目撃しましたよ。

 けどその時の邑楽はやんわりと断ってましたよ。

 


 で、男三人に囲まれた邑楽は、俺を見つけるなり、



 「貴方!私を助けなさい!」


  

 なんて言って来たもんだから、左手人差し指を自分に指して、『俺?』とゼスチャーをすると、「そうよ!」と叫ぶが、俺は手を左右に振り『無理』とさらにゼスチャーをしたら、何を勘違いしたか、一人のガタイのいい男が俺に向かって来て、いきなり胸ぐらを掴むと、



 「お前、あの子の彼氏か?ああん!」



 なんて恐ろしくドスの効いた声で言って来たもんだから、怖くなりいきない俺は首を横に振るつもりが縦に振ってしまった。

 そのあとは、男三人に路地裏へと連れて行かれ、まるで俺がサンドバックのようにボロクソに殴る蹴るを繰り返された。

 で、あとは邑楽おおらかが警察を呼びに行ってくれて、事なきを得たんだけど。



 事なきを得た?



 いえ、違うかな。

 俺あの後病院に行って、右目下を4針縫う事に。その傷は一生残るとの事。

 無論その事は、邑楽には話してない。

 で、そんな事があった次の日から、邑楽は俺の面倒を見てくれるようになった。

 クラスの男子からは妬まれ、女子からは疑問視された。まさか弱みを握られてるのではと。

 だから邑楽はいつもやんわりとした言葉で



「違うわよ」



 と。

 けど、俺と二人きりになると、ツンケンした言葉で、



 「早くしなさいよ!この私が介護してあげてるのよ!」



 なんて言って来ます。

 けど……けど……けどですね、邑楽こいつの言葉使い、性格が嫌にならないんですよ、俺は。

 えっ?俺が「ドM」かって?

 違いますよ!俺はSでもMでもありませんよ。

 けど、なんなんだろう……、俺、昔、邑楽こいつを……



 「貴方!私を忘れたの!」



 なんてキツイような言葉使いで言って来ますが、その瞳は何か寂しそうに見えた。

 そんな瞳を見ていた俺は



 「……昔……俺は…………ハアッ!、そっか!昔、小学校の時俺は邑楽を助けてるんだあ!」



 そう、俺は小学校の時に階段から滑り落ちる邑楽こいつを助けた。で、その時俺は左腕を骨折した。その後、邑楽こいつは小学校での生活中、介護をしてくれたんだ。



 ……小学校一年の時の事だからすっかり忘れていた……



 「で、貴方!返事は!」



 と、またもキツく言って来た。

 けど、瞳は不安そうな感じだ。

 俺は少し考えて



 「俺からも頼みます……、俺と付き合って下さい」


 「あっ……も、もう、しょうがないわね、私から言って来たんだから、付き合ってあげるわ」



 そう言って俺は邑楽に頭をさげた。邑楽はと言うと、瞳を潤ませ、俺の隣に来て自分の腕を俺の腕に絡めると、



 「私を二度もたすけて、私のハートを二度も掴んだんだから、ちゃんと一生責任取りなさいよね」



 そんな邑楽かのじょの顔は笑顔になっていた。

 そして、俺はこの日から、ソロ、ボッチ、陰キャから卒業した。


 

 あっ!陰キャは暫くは続くかな?


 

 



 

 

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俺はソロ◯◯で陰キャなのをやめさせられました……かな? 本田 そう @Hiro7233

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