第48話 造り始めます
エリスとカイは温泉に来ていた。
「ここから水道管を伸ばすんだね」
「うん、ホテル用に一本、公衆浴場用に一本ね」
「ここが干上がったりしない?」
「それは大丈夫。水量の豊富な水脈だから。じゃあ早速始めようか」
エリスはまず、大きな円筒を二本作った。片方の先は蓋で塞がれている。もう片方の塞がっていない方の先をゆっくりと地中に埋める。
「良し、水脈に届いた。あとはこの円筒を街まで伸ばすだけ」
「なるほど。街まで伸ばして先の蓋を外すんだね」
「そういうこと。じゃあ街まで飛んでくれる? ゆっくりとね」
「了解」
エリスは鳥の姿になったカイの背に乗り、ゆっくりと水道管を伸ばして行く。進路上にある木々や岩などを取り除きながら進む。
「カイ、もうちょっと速くてもいいよ?」
「クェッ!」
そうして僅か30分程で街に到着した。
◇◇◇
「エリス様、お疲れ様です」
ホテル用地の前では、予め連絡してあった街の職員達が待っていてくれた。
「お待たせしました。こっちがホテル用、こっちが公衆浴場用の水道管になります」
「なるほど。しかし、二本に分ける意味は何かあるんでしょうか? 一本で十分だと思いますが?」
「それに関しては後で説明します。整地を開始しても良いですか?」
「はい、問題有りません。街の住民には近寄らないように通達を出してありますから」
「結構。では始めます」
エリスはまず、ホテル用地の辺りから整地を始めた。土を盛り上げ、木を引っこ抜き、岩をどかして、といった具合に。そしてあっという間にホテル用地を更地にしてしまった。
職員達が目を丸くした。カイは慣れたもんで平然としている。
「抜いた木は材料として使いますよね?」
「はい、ありがたく使わせて貰います」
「ではこの辺りに纏めて置いておきますね」
次に全く同じ要領で、お土産物屋の用地も更地にする。
「良し、次は牧場までの遊歩道を整備します。ここで待ってて貰えますか? カイ、飛んでくれる?」
「「 了解 」」
カイにゆっくりと飛んで貰いながら、上空から遊歩道を整備していく。抜いた木は全てストレージに入れた。一時間程でエリス達は戻って来た。
「ただいま戻りました。かなりの量の木を引っこ抜きましたが、全部ここに出しますか?」
「いえ、それでしたらお手数でも製材所の方にお願い出来ますか?」
「分かりました。では全ての木材を製材所に送りますね」
「お願いします。製材所の場所は後程ご案内します」
「となると、次はメインストリートの下に水道管を這わせますか」
「はい、もうすぐお昼になりますので、その時間に合わせて通行止めにする予定です。もう少々お待ち下さい」
「ではそれまで一休みしましょうか」
エリスはストレージから食べ物と飲み物を取り出した。
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