第47話 プレゼントを選びます
夕食の席で早速ユリが動いた。
「ねぇ、カイ君。今何か欲しい物ってある?」
それを聞いてエリスは吹き出しそうになった。それとなくどころかド直球で聞いてるじゃん! と。
「欲しい物? う~ん、特に無いかなぁ...」
「服でもアクセサリーでも何でもいいんだよ? 何かあるでしょ?」
ユリは尚も食い下がる。
「そうだなぁ...あ、ナイフが欲しいかも」
「ナイフ?」
「うん、狩猟用の。こないだ魔獣を狩った時にちょっと欠けちゃったんだよね」
「そうなのね...」
ナイフか。誕生日のプレゼントとしてはあんまり相応しくないかも知れないけど、今本人が欲しがっている物をあげたら喜ばれるだろう。ユリはエリスに視線で合図を送った。
「でもどうしたの? 急に」
「何でもないよ。気にしないで」
◇◇◇
次の日、ヒナとキクを街まで送った後、エリスは武器屋に来ていた。
「これはエリス様、ようこそおいで下さいました。本日は何をご所望で?」
「狩猟用のナイフを見せてくれる?」
「ナイフですか。こちらでございます」
店の主人が案内してくれた先には、ゴツいナイフが並んでいた。
「結構種類があるのね」
「左様でございます。こちらの刃が長くて鋭い物が獲物を倒す用、こちらの刃が広い物が獲物の解体用になります」
「なるほど...」
獲物を倒す時はそのほとんどを魔法で倒すエリスにとっては、馴染みの無い物ばかりだった。
「固くて切れ味の良い物ってどれ?」
「それならこちらのミスリル製がお勧めです。かなり高価な物になりますが、切れ味は保証します。また丈夫で長持ちします」
確かに他の物と比べても輝きが違って見える。いかにも良く切れそうだ。
「これを頂くわ。刃の長いヤツと刃が広いヤツ、両方頂戴」
「畏まりました」
「おいくらかしら?」
「ちょっとお待ち下さい。値引きしますので」
「いいえ、気持ちは嬉しいけど、私にだけ特別扱いするのは止めて頂戴。定価で支払うわ」
「で、ですが...」
「いいからそうして。あら? ここに金額張ってあるじゃない。はい、これで足りるわね?」
「え、エリス様、これは貰い過ぎです!」
「じゃあ私用のも一本貰うわ。それでちょうど良くなるでしょ?」
「えぇまぁ...それでもまだ私共が貰い過ぎなんですが...お買い上げありがとうございます」
「あ、こっちの二本は誕生日プレゼントにする予定だから、キレイにラッピングして貰える?」
「承知致しました」
カイが喜んでくれるといいな。エリスはそう思っていた。
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