第11話 捕縛

ゴブリンの住処である洞窟に入って5分は経っただろうか


更に5体のゴブリンを倒し進み続けている


勇者ジャックボット時代からマッピングをしていたのでかなり方向感覚には自信があるのだがまだゴブリンキングにはたどり着かない


「と言うか、これアジトにする為にわざわざ掘ってるな・・・」


敵に気付かれる可能性がある為ファイアーが使えないせいで何の目的の部屋かまでは分からないが1本の大きな洞窟の道に枝分かれの様に色んな部屋が分岐している様だ


ゴブリン自体は子供の大きさなので掘るにしてもここまで大きくする必要はない


大人並みの大きさにもなるゴブリンキングが通れる様にだろう


相手に気付かれない様にかなりゆっくり進んではいるが5分歩いてもたどり着かないのはかなり大掛かりなアジトだ


更に少し進むと今までとは違う枝分かれの部屋を見つける


何と部屋の入口に1匹見張りがいるのだ


洞窟に入って倒したゴブリンは見回りか他に用事があったのか松明を持って歩いている者ばかりだった


しかしあれは間違いなくその部屋を守る為に棍棒を持っているし部屋の入口に松明までかかっている


「洞窟の中にまで見張りが必要と言う事は・・・やっぱり誰か囚われているのは間違いないみたいだな」


これ以上近づいたらバレる確率が高いが距離はまだ離れておりアイスニードルも届きはするが威力は落ちる


見つかって叫ばれたら厄介だな・・・


「『集え精霊よ ストーンビルド』」


俺は壁に片手を付けストーンビルドを唱える


壁から拳サイズの石が取れた


「よし・・・」


俺は自分のいる方向とは逆の方向に石を投げる


「キィ?」


見張りが石が地面にぶつかった音に気付き音のありかへと歩き出した


「よし、今だ!『集え精霊よ ビルドアップ』」


俺はもうすぐ切れるであろうビルドアップを掛け直し背後から素早くゴブリンに近づく


ゴブリンが俺に気付いた時には首を短剣が通っていた


「グ、グァ・・・」


「おい、声は出すなよ・・・『集え精霊よ ストーンビルド』」


俺は地面から石の塊を作り出しゴブリンの口に詰め声を抑え、短剣をゴブリンのこめかみからさして絶命させる


「よし・・・ん?」


ゴブリンが守っている部屋は牢屋であった


木で出来た格子


「まさか牢屋まで作れるのか・・・『集え精霊よ ファイアー』」


俺は人差し指を立てその1センチ上の空に火をともし、格子の隙間から腕を差し込み中を照らす


するとそこには道に落ちていた服の切れ端と同じ服を着た人物が横たわっていた


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