第5話 前衛

俺は荷物をまとめて宿の階段を下りる


階段の下には背が一般男性にしては低いガタイの良い男が立っていた


「もう行くのかの?」


「おう、リク、お見送りか?ありがとうな」


「なに、儂もすぐ出ていくわい」


ドワーフは人族に比べて身長が低いが筋肉のつき方が良い者が多い種族だ


リクは30半ばのドワーフ族


大きな盾と片手で持てるハンマーを持ち前衛をジャックボットでは任されていた


「ボット、お主良い友人を持ったな」


「あぁ、もちろんリクも友達だ」


「ふむ、なら儂と鍛冶屋でも開くか?ドワーフの国は鍛冶が盛んだぞ?」


かなり魅力的な誘いだな・・・だけど・・・


「いや、しばらくは自分のやりたい事を探そうと思う。もし、仕事に付けなかったら弟子にしてくれ」


そういうとリクはカッカッカッと笑う


「勇者の武器を何年も作って来た男を弟子にか!そりゃぁ世界中の鍛冶職人がうらやむわい!」


リクは笑いを少しずつ収めて悲しそうな顔になる


「・・・ありがとうな。ボットよ」


「何がだ?」


「前衛の盾の役割と言うのは最も攻撃を受けるから死ぬ確率が高い。いくらドワーフが頑丈といえども限度があるからな。だから敵の攻撃や魔物の技などを知っておかないと毒や奇襲で簡単にやられてしまう。」


リクは顔をぼりぼりかきながら続ける


「ボット、お主は盾がいるからと任せっきりにするのではなく相手の事、クエストの内容を隅々まで調べて常に儂に気を付けるべき点を教えてくれた。お主がいなかったら序盤で死んでたかもしれん」


「いや、リクなら大丈夫だと思うぞ。俺がやる事ないからやっただけさ。」


そういうとリクはふっと笑う


「なら、そういう事にしておこうかの。ボット、いつでも弟子入り待っとるぞ」


リクはそう言うと盾を背負って少ない荷物と共に宿を出て行った

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