第4話 感謝

そこにはボブヘアーの髪型をしたエルフの女の子がいた


アヤカ


ジャックボットの支援魔法担当の魔法使いだ


女の子と言っても歳は俺らと大差ないらしい


あと30年位かけて大人になってそれから数百年生きる種族、それがエルフだった


まぁ、今目の前にいるのはどう見ても10代前半にしか見えないがな


「どうした、アヤカ」


「あのね・・・ジャックから聞いた?パーティの事」


アヤカは幼い顔で俺の顔を覗き込む


「ん・・・解散の事か?」


「そう・・・理由も聞いた?」


「あぁ、俺の待遇について不満だとか・・・アヤカごめんな。俺のせいでアヤカの居場所なくしてしまった・・・」


俺が理由でパーティは解散する


それはメンバーの仕事を俺がなくしたと言う事になるのだ


アヤカは慌てたように


「ち、違うの!!」


と否定した


「確かにパーティはなくなったよ・・・だけどそのパーティと言う居場所を作ってくれたのもボットだもん!」


アヤカは目に涙を溜めながら続ける


「私もボットの待遇には物凄い不満だった。私が戦闘中の直接支援。ボットは戦闘中・戦闘外含めた間接支援。このパーティにボットは絶対に必要だったし、それを理解されないのは同じ支援職として物凄い嫌だった・・・私がここに来たのはね・・・?」


アヤカの大きな瞳から涙があふれる


「もし、ボットが気にして落ち込んだらどうしようって・・・。私に居場所を作ってくれたボットに今度は私が居場所を作りたいって・・・」


本当に俺って幸せ者なんだな・・・


「ありがとう、アヤカ。ほら泣き止まないと」


そう言ってアヤカの涙を拭ってやる


「も、もう・・・。私は子供じゃないよ・・・」


「あはは!そうだったな!アヤカ、俺の話を聞いてくれないか?」


「うん・・・」


俺はアヤカの頭をなでながら話し続ける


「ジャックが俺に言ったんだ、やりたいことがあるって。それを聞いて俺も何か自分でやりたい事を見つけようって思ったんだ・・・」


俺が言おうとしてる事が分かったのかまたアヤカの目に涙がたまってくる


「だからちょっと1人で頑張ってみるわ!」


そう言って俺はアヤカの髪をクシャっとした


「やっぱり・・・ボットも私にとっては勇気のある者、『勇者』だね・・・」


「ん?」


小さくアヤカはつぶやき俺は聞き取れなかった


アヤカは腕でごしごしと涙を拭き、とびきりの笑顔でこう言う


「ううん!ボット、じゃぁ私、いつでもあなたの居場所を確保して待ってるわ!私はエルフだから、数年・・・いや数十年は待ってあげる!私に勇者一行の仲間にしてくれたジャックボットに森の祝福がありますように!」


なんだろなぁ・・・俺、まだ20歳だけど涙腺もう弱くなってきたかなぁ・・・


「ありがとうな・・・必ず何年経ってもアヤカに会いに行く。約束だ」


「うん!」


俺たちは指切りをしてアヤカはまたねと呟いて部屋を出て行った

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