第13話学園生活

「ほら、ホームルーム始めるわよ」


「起立、礼、着席」


シーラ教官の発言と共にリオンさんの低い声が教室に響き渡る。違う、響いたりはしないけど、何故か僕達はその威圧感というか覇気の様な物がリオンさんから感じられた。


「学級委員長?今日の科目の説明を」


「1、2時限、戦技射撃。3時限、軍事学。4時限、法学。5時限、科学。6時限、音楽。以上です。各内容においては、、、以上です」

 

(リオンさん、かなり不機嫌なんだな)


リオンさんの事だ。自分の仕事は真っ当するだろう。八つ当たりもする事は無いだろうけど、今の無表情、そしてこの感覚を受けたら流石に怖い。


「、、、ぁ、、、そうだ!君達!1、2時限目戦技射撃の場所は校庭の射撃場よ。開始は15分後だから遅れないように来てね。よしHR終わり、解散」


「起立、礼」


朝のHRも終わって僕等は移動の準備を始める。


「ローラ・フォン・ディーンマラ。皆の引率を頼む。俺は教室の施錠と鍵の返納をする」


「わかった、任せて貰おう。皆も話を聞いたな?移動するぞ」


ローラさんの掛け声で僕等は移動を開始した。僕等が向かったのは校庭の一角にある射撃場だ。移動はだいたい5分で終わる。射撃場の中は数は多くの導力銃が種類事に置かれていた。


「ピストル、ライフル、ショットガン、キャノンタイプまである。シーラ、これ過剰戦力じゃない?」


「でもねぇ、全部軍落ち品だから問題ないらしいのよ。皆、適当に選んでみて。でも、元々導力銃使ってる子は別のを使ってね」


僕がどれ2しようかと悩んでいると、ルイスが近付いてきた。


「レーヴェは決めたのか?」


「うぅん、まだだよ。こう種類があるとね」


「リオンやユリウスに聞いてみるか?彼奴等は導力銃使ってるし、〔リースに〕聞いても良さそうだな」


「最後のリースの所だけヤケに強調するね、君は、、、はぁ、まあ妥当だね」


導力銃を使っているのはリオンさん、ユリウスさん、リースの3人だ。早速教えて貰おうかと思ったら、案の定リースには女性陣がぴったり張り付いて此方を睨んでくる。


「ルイス、下心丸出しでリースに近付くな」


「えっ?いや、俺は教えて欲しくて、、、ごめんなさい」


「ルイス、ほらユリウスさんが教えてくれるって」


「馬鹿者、一体何をしてるんだ」


ユリウスさんと僕はルイスを引きずってさっさと武器を選ぶ事にした。途中、ルイスが騒いだけどもう関係ない。早く始めないと。


「良いか?導力銃を扱った事がないのなら、ピストルを選ぶべきだ。取り回しも良いしな」


そう言いながらユリウスさんはピストルで《人型的》を撃ち抜いて見せた。中心からややズレてはいたけど、それでも急所には違いない。


「なら、俺もホラッ!」


ルイスが格好つけてのピストル射撃、なんと隣の的に命中。ユリウスさんは大笑いしている。


「格好つけてマグレか、、、くっ、、笑わせるなよ、、、」


「わっ、忘れろ!良いな次はレーヴェだけらな!」


「両手で抑えて撃て、無理に反動を逃がそうとするな。足を肩幅に開いて、きちんと狙うんだ」


「うっうん」


言われた通りにして僕は引き金を引いた。中心とは行かなかったけど、僕の撃った弾は的の肩の部分に命中した。初めての射撃だったけど、当たって良かったよ。


「!リオン凄い!リオン凄い!」


「リオン、もう一回!リオン、もう一回!」


隣ではリオンさんと双子が何かしている。


「あれ?タイムアタックか?」


タイムアタック、射撃場で難しい訓練の1つ。障害物を駆使して第3エリアまでの長さ100mのステージをどれだけ早く踏破できるかを行う訓練なんだけど、これは現れる的120体を一つ残らず排除しなくちゃいけない。撃っては来ないけど、一体逃してゴールすると30秒のロス。それを今リオンさんは行っていた。


「ウ~ン、リオンに関しては射撃の科目いらないわね」


「アレ、マジ?」


「リオン、流石に凄いわね」


「マジか」


「よく身体が持つな」


リオンさんはあり得ない事に全てのタイプの導力銃を背負ってタイムアタックをしていた。撃ち切る事に武器を変え、ピストルからライフル、ショットガン、最後にはキャノンへと。火薬式では無いから軽くはなっているけど、それでも合計で15kgは超えるのに、ソレを軽々と。しかも普通に走っているし、、、


「あらぁ?3周目も同じ難易度だと思ったの?」


リオンさんが第1エリアを突破した所で市街地を想定して作られた第2エリアの壁からリオンさんめがけて、大量の射撃が行われた。


「シーラ・バレスタイン!」


「乗り越えてみなさい!」


そこからリオンさんはもう、暴走だった。キャノンを弾切れまで無差別に発射して的の減少と土煙を起こしての視界の減少。後は的を倒し続けている。


「ぐぅ!」


「あっ!」


「クゥソガァァァァァァ」


被弾しながらリオンさんは的を倒す。自分がダメージを負い続けるのを理解して、守ることを捨てている。


「いやぁ、コレは予想外だわ。皆、アレは模擬弾だけど当たれば常人なら気絶するレベルの衝撃を受けるの。リオンのアレは異常だから、真似しないでね」


「いや、真似できるかよ」


避ける事も、防ぐ事もせずただ黙々と歩いて的を倒す。まるで機械が作業をするかの様に全ての的を撃ち抜いてみせた。


「クリアしてやったぞ。シーラ・バレスタイン」


「タイムは5分49秒か、貴方でしか合格できない方法だし、OKとするわね」


「チッ、くえない女だ」


リオンさんはそれから双子達の指導に戻った。あの双子だけなんだよね、リオンさんが綺麗な笑顔を見せるのは。まるで、本物の娘を見るみたい。


「あ~え〜と、君たちもアレが試験になるから。リオンを見習って頑張るように」


「「できるか!」」


うん、皆同じ思いだったんだね。




直ぐに解散となって、それぞれの射撃を行って解散となった。流石に2時限目までずっとやるのは疲れてしまった。でも、それ以上にリオンさんの機嫌が悪いのが怖かった。双子以外、あの強い威圧を受けて表情が強張っていたもの。


「よ~し、授業終わり!」


「リオンは鍵を受け取ってから教室入ってね!それじゃあね」


シーラ教官は一度伸びをすると、さっさとと何処かに行ってしまった。それを確認した僕等はリオンさんの指示の下、教室へと戻った。


「次は軍事学だ。教科書ノートを準備して休憩するように」


「「はい」」


何だかんだ言っても、リオンさん。本当に職務真っ当してるんだ。でも、顔は無表情だけどね。3分位して、軍事学の教官の《ハウザー教官》が入ってきた。


「よし、これより軍事学の授業を行う」


「起立、礼!、着席」


「今回の内容。グリムガルド社についてだ。導力機メーカーとしても知られるグリムガルド社だが、その前身は何だったか言えるものはいるか?」


「はい」


そう言って手を上げたのはアンナさんだった。


「よし、アンナ。答えてみろ」


「グリムガルド社の全身はグリム工房とガルド工房と呼ばれるパリメ市に居を構える工房でした。導力発見前はグリム工房はガソリンを使った兵器。ガルド工房は火薬式武器の生産を行っていました」


「正解だ。他には?」


「グリムガルド社となった理由として、導力の発見の他にも巫山戯たラブロマンスがあったらしいな。現在のグリムガルド会長の祖父の代だったか?グリム工房とガルド工房の跡継ぎ同士が恋に落ちて結局合併?したと言うのは何故か聞いた事があるぞ」


ローラさんも、そう言うのに興味あるのかな。


「あ、、、それも間違いじゃあないな。帝国では有名な話だ。二大工房が1つになったんだからな。因みに、そのお二人の書いたラブロマンスが図書館にある。読みたければ読め、私は、、、知らん」


ハウザー教官が遠い目をして話してくれた。なんだろう、そこまで面白いのかな?それとも、、、多分コテコテの恋愛小説なんだろうな。ハウザー教官、読みそうに無いし。


軍事学は難しい物もあるけど、覚えやすかった。ハウザー教官、軍人よりも教師が向いてるんじゃって思うくらい教え方良いんだよね。


法学は教頭である《ミッツェル教官》が教えてくれた。近代に導入された導力車。その使用法律導力車両所持基本法や、軍と関わりのある法律何かを勉強した。意外だったのがリオンさんが神妙な顔付きで授業を受けていたことだ。


「あ、、、リオン。そこまでする必要は」


「いえ、自分は入学試験ででた法律以外勉強しておらず、ここまで歴史がありかつ、生活に浸透した法律そこから、細分化された、、、」


途中からミッツェル教官とリオンさんの立場が交代した。リオンさんが教壇に立っているようだったよ。凄い人だよ、本当に。


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リドリー帝国物語 shadow @shadowback

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