第11話リオン
「消滅させれば関係ないな。ディメンション」
俺は、アーツではなく魔法を放った。空間を操作する魔法だ。それが子蜘蛛の群を襲い、奴等を消滅させる、存在も、痕跡も既に無い。導力銃も一様撃ってはいるが、導力を限界まで使用しているため、簡単にエネルギー切れになる。そこで、近付いてくる人間の気配を俺は感じた。
「魔導銃へのカスタマイズを忘れなくて良かった。レンの方には後で予算を回してやらんとな」
見られても構わないガンダガーを構え、残りの小蜘蛛に向かい撃ち続ける。既に180は処分しているが、コイツラは知性が無いのかただ地面や壁を這いながら俺に向かってくる。格上等は理解できていない、まさに本能のままに生きる魔獣。
「ちまちましやがって、ソウルスティール」
ディメンション共々、本国では魔法開発部の試作魔法であるが現在使用可能なのは俺と王族達だけである。敵と認識した相手の命を奪う魔法。最高機密であり、俺が主導で研究開発した。最高傑作。
「動かないのは便利だな、さっさと燃やしてしまおう。ファイアフェーブ」
魔法で辺りを燃やしたのだが、少しばかりの大惨事になってしまった。元々蜘蛛が燃えやすかった事もあるのだが、以外に酸素が充満していたのだな。爆発が起こってしまった。周辺は火の海とかし、爆炎の中を俺は進む。蜘蛛の燃えカスを踏み潰し、近付いてくる人間の気配へと向かう。案の定、それはボロボロになったレーヴェであった。
「リオンさん」
「レーヴェ、、、親蜘蛛は仕留めたんだな」
「はい、何とか倒しました」
彼と話していると、何故か弟の世話をしている様な気分にさせられる。おそらく彼個人の人徳と言うものなんだろうな。
「ところで、さっき爆発は一体?!」
「慌てるな」
態勢を崩したレーヴェを支え、爆発の説明をした。
「ダンジョンのトラップだろうな。俺も危うく巻き込まれるところだった。大量の子蜘蛛のどれかが踏んだが、何かが作動スイッチになったんだろう。安心しろ、此方に被害は無い」
「安心しろって、、、はぁ」
まだ状況が詳しくわかっていないようだが、アレを仕留めたのだから実力はきちんとあるんだろう。流派は違うが、刀を教えてやっても良いかもしれないな。
「これは?!」
俺は魔力の流れを感じた。
(帝国では魔導具は普及しておらず、導力装置だけのはずだが何故?!)
けして口には出さないが、俺の焦りを感じたのかレーヴェも臨戦態勢をとっている。そして俺達の周りに青白い魔法陣が現れた。逃げる事はかなわないだろうと思い、俺は直ぐに魔法の解析をした。
(近距離の転移魔法陣だと?しかも発動媒体は《旧世代の遺物》じゃないか。これは《奴等》に回収される前に俺が回収しておくか)
「ここは一体?」
「レーヴェ、無事だったか」
「ユリウス・フォン・ローエングリン。俺への言葉は無しか?」
「お前はあの程度で倒される男では無いだろう」
「フンッ、まぁ良い。ユリウス・フォン」
「リオン、俺はユリウスで構わない」
互いに深く関わろうとはしないが、共に戦闘を繰り広げた仲間。俺はユリウスをそう認識しているのかもしれないな。あの馬鹿な二人組や親友の事を思い出してしまう。自分自身、それを悪くないと感じているんだがな。
「なぁ、俺への心配は無いわけ?」
「今治療してやる」
俺は寝ているルイス・フォン・ミューゼオに対して
ピクシーを起動させアーツを放った。
「エウロン」
唱えると同時にピクシーから動力の8%を消費する。すると水がルイスの周りに集まり、傷を癒やす。誰かに手当でもされていたのだろう。たった8%の消費でルイス・フォン・ミューゼオは立てるまでに回復した。
「ありがとう、リオン」
「礼には及ばない。ルイス・フォン・ミューゼオ。それよりも、今は周りの状況を確かめるのが先決だ」
そう、俺達が転移させられた場所は周囲が蒼白く淡い光を灯している。材質は石だと思うのだが、こんなのは俺も見たことがない。
「おいおい、ありえねぇ。ユリウス、レーヴェも見てみろよ。こいつは皇家の紋章だぜ」
ルイス・フォン・ミューゼオにユリウス、レーヴェの3人はその紋章を見て驚いているようであった。中でもレーヴェの反応は異常とも言える反応だ。
「すっすごい!これはエルフリーデ大帝の紋章だよ!現物は帝国博物館に残っている1つだけのはずだったけど、これはもしかしたら2つ目の本物かもしれない!歴史的発見だよ!」
、、、こいつは剣士よりも歴史学者が向いているのかもしれないな。そんな事を考えてレーヴェが壁を触っているのを眺める。
「え?」
レーヴェが紋章に触れた瞬間、魔法陣が再び現れ鎧姿の女性が俺たちの前に現れた。
「若人達、私はエルフリーデ・フォン・リドリー。この魔法が起動したと言うことは、迷宮の階層を私に導かれた×××が攻略したのだろう。この迷宮に私は×××を残した。だが今はまだその時ではない。忘れるな、若人達よ。未来を開け」
魔法はそれで終わりだが、俺は驚きを隠せなかった。帝国で魔法が使える存在がいた事は驚きしかない。
「終わったの、、、かな?」
「あぁ、終わりだ。そして、まだ俺達はこれ以上進めない」
「ユリウスまじかよ!リオンどうにかならないのか」
「その魔法陣に乗れ、俺の知識が正しけば、、、あった制御装置だ」
俺は魔法陣の制御装置に触れると、乗っている3人を先に転移させた。
「帝国の女帝よ。貴様は一体何を隠している?そして、何故レオンハルトを選んだ」
俺はそれだけを言い、仲間の下へと転移した。
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