第3話まずは自己紹介から
「しかし、上は馬鹿だな。リオン、だったよな?留学生をこんな所に落とすなんてさ」
「、、、」
「おい!返事ぐらい」
「ん?あぁ済まないな。いや、考え込んでしまうと周りが見えなくなる質なんでな。確かに、留学生にこんな事をすれば国家間の関係は酷いくなるだろうが、俺をここに入れた時点でコレは本国も了承しているはずだ。なら、俺は与えられた事をやるだけだ」
「そっ、そうか」
ルイスは呆気に取られているけど、僕も驚きだ。リオンさんは現状を受け入れた上で行動しようとしている。正直、格好いいな。
「取り敢えず、名前も解らないのは困るだろ?自己紹介でもしないか、俺は、リオン。リオン・マーキュリー。年齢は18,《ターシェ王国》の出身だ。武器はコレだ」
リオンさんがそう言って見せてきたのは、ハンドガンにダガーが付いた銃剣みたいな物だった。
「ガンダガー、近接戦闘と射撃戦闘を同時にこなす為の武装だ」
「《導力拳銃》にダガーが付いたものですか。明記ではグリムガルド社製となっていますが」
「武器は便利な物に越した事はない。戦闘スタイルは遊撃だな。スカウトからサポートまでこなせるつもりだ」
「次は僕だね。僕はレオンハルト・オイラート、年齢は17,《ビールス》の出身だよ。武器は刀だ。前衛なら任せて欲しいかな」
僕はそう言って、鞘から刀を抜く。帝国ではとても珍しい武器だけれど、王国の軍務大臣も使っているらしいしね。
「流派はなんだ?」
「僕は《七ノ葉一刀流》だけど」
リオンさんにそう答えると興味深そうに僕を見たあと、一言も発することなく下がった。正直、不気味だった。よくわからないけど、何故かそう感じたんだ。
「次は俺だな。俺はルイス、ルイス・フォン・ミューゼオ。年齢は18,《帝都》出身で絶賛彼女募集中!宜しくな!」
皆が呆れていた。特に女性陣は苦笑いが絶えない。
「っと、冗談はこれまで。武器はコレ《多節棍》って言うんだが、まぁ戦い方は前衛だな。アーツも使うが、戦闘の補助にだ」
ルイスのお巫山戯と真面目の差が激しくて、僕も驚いちゃった。けど、、、今のところリオンさん以外前衛なんだよね。
「ユリウス・フォン・ローエングリンだ。年齢は18,武器は導力銃剣を使っている。出身地は《南都ローエングリン》だ。留学生と同じく万能に戦えるツモリだ」
《ローエングリン家》は《四大公爵家》の1つじゃないか。それなら、導力車をもっているのも納得だよ。でも、おかしいな。ユリウスって名前で、僕と同い年。そんな人ローエングリン家にいたかな?でも、男性陣の紹介は終わって、次は女性陣の紹介だ。
「あの、私はエミ・アイギスです。年齢は16で武器は《動力杖(バーサルロッド)》です。戦闘は苦手なので、後方支援で頑張ります!」
う~ん、僕にぶつかってきたしドジみたいだから信用出来ないんだよね。
「「私達はミロとミラだよ。名字はケリス!12歳!でも、アーツできるよ」」
可愛くバーサルロッドを振り回している。頭がハートの形なんて如何にもで本当に可愛いな。
「12歳か、飛び級でか凄いな」
「でもでも、リオンに負けた!」
「うん、私達は499点。500点満点は凄い!」
リオンさんとミロちゃんとミラちゃんはリオンさんと直ぐに打ち解けていた。というより、リオンさんが凄い可愛がっている。今も何処から出したのかアメを双子に与えていて、、、凄い微笑ましい。
「私はローラ・フォン・ディースマラだ。年齢は17,出身はミステニアだ。武器は大剣を使っている。私も前衛の立ち回りだ」
凄いな、あのアタッシュケースにはこれが入ってたのか。しかし、《ディーンマラ家》か、《帝国軍指導官》でもあるディーンマラ子爵家の人だなんて。それなら、かの《ディーンマラ大剣術》も見れるかも。
「私はアンナ・Gよ。武器はコレよ、《蛇腹剣》って言うの。近距離は片手剣として戦うのだけれど、少し退いてね」
アンナさんはそう言って蛇腹剣を振ると、刀身がまるで鞭のように撓りながら、離れた位置を斬りつけた。
「導力式でね、自分の意思で変形できるの。でも、4mまでしか伸びないからそれ以上の攻撃は出来ないけどね。アーツも勿論使えるわよ」
万能型だけど、比較的近距離向きって感じだからアンナさんは前衛支援型なんだね。
「最後は私。リース・クロイツ、14歳だよ。武器はリオンと似てるけど、違う。ピストルダガー、アーツは上手くない」
一瞬、リースちゃんとリオンさんが視線を合わせた気がするけど、僕の気の所為かな?
「それよりも、皆はどうする?」
「結局、ここの攻略をしないと出れないんだろ?ならやるしかないだろ、ならやるだけやろうぜ!」
ルイスが皆を鼓舞する。そして、悩んでいた皆もそれに答える様にして武器を構えている。
「リース、君は俺と同じ様にスカウトは可能か?」
「できるよ」
「決まりだな。偵察は俺とリースが行う。付いてこい」
やっぱりリオンさんは格好いいと思おながら、僕達の攻略は始まったんだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー解説
ターシェ王国
3年前に内乱が起こり、政治改革が行われた。国王は女王セリエ・ラ・ターシェ18歳が担っており、現在は各国と平和外交を行っている。
導力拳銃
バーサルをエネルギー弾にする事で射撃を行う武器。他にも導力ライフルや、火力は下がるがエネルギー消費の少ない導力弓などがある。
ビールス
辺境にある温泉街。皇帝も愛用する温泉街であるが何分辺境の為、交通手段が乏しい。しかし、帝国の温泉好きが選ぶ10選に必ず選ばれる。
七ノ葉一刀流
刀を扱う流派の一つ。九重一刀流の並ぶ刀を扱う代名詞とも言われる。門下生は必ず葉が彫られた刀を所持している。
帝都
帝国の首都オーデォンこと。
多節棍
何本の棒を、紐や鎖、金属の環などで一直線になるように連結した武器。複数の関節部分を持ち、振り回して敵を攻撃する。
南都ローエングリン
ローエングリン公爵家が管理する都市。東西南北と存在し、帝都から見た方角に存在している。各都市はそこを管理する公爵家の家名を都市名としている。
ローエングリン家
4つある公爵家の一家。帝国発足時から存在する。
四大公爵家
北のホライゾン家、南のローエングリン家、西のオライオン家、東のミーティア家を四大公爵家と言う。
導力杖バーサルロッド
通常の導力魔法を数倍の火力に引き上げる為の専用武装。鈍器としても使えなくも無いが、内部を導力回路が締めているため、推奨されない。導力回路内には各属性モーテルを装着しているため、全属性のアーツを使用可能である。
ディーンマラ家
子爵の位を持つ貴族家。霧の町ミステニアを領地としている。武家であり、軍人を多く出している。
帝国軍指導官
現在ディーンマラ家当主ロランの事。軍人ではないが、その実力から帝国軍指導官というポストを与えられている。
ディーンマラ大剣術
大剣を扱う流派。帝国では各地にこの道場があり、ミステニアの道場は本道場と呼ばれている。
蛇腹剣
刀身に形態を変える導力機構を内蔵し、剣としての形態と、刃の付いた鞭の形態とを使い分けられるようにした刀剣。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます