第2話
「もう字数が少ない。強行突入だ!」
隊員たちは強行突入を開始した。
強行突入である。具体的にと言われても、強行突入としか言いようがない。
「隊長。この部屋に人質が…。しかし、もう3文字しかありません」
*
「助けるぞ」
「え?」
「助けると言ったんだ」
「しかし…。国際法違反ですよ!?」
隊長は、手にしていたバズーカ砲を、固く閉ざされたドアに向かって構えた。
「知ったことか」
そう呟くと、彼は、全身でその引き金を引いた。
ドッカーーーーーーーーアアアーーーーーーーーあぁぁぁぁぁンンんんん。
「字数制限事件担当特別機動隊だ!テロリストども神妙にしろぃ!」
「ナニ?〝ジセイタン″ダト?」
「隊長!?その名称だと長いから、字数削減のためにCLRPって言わないといけないんじゃ…」
「ぃやかましいわい!」
「隊長…」
「ぼやぼやするな!不忠をはたらく極悪非道のテロリストどもを生け捕りにするのだ!!」
「はいっ!」
「オーノー!オマエタチ、コクサイホウヲシラナイノカ!?」
「テロリストが言うなよ…」
その後、隊員たちとテロリスト集団との間で、激しい銃撃戦が繰り広げられた。
ある者は仲間のため、ある者は家族のため、そしてある者は、自分の信念のため。惜しむことなく、ダダダダダ、バンバンバンと銃撃音を響かせた。
彼らは、まるで、今まで自分たちを縛ってきた呪縛から解き放たれたようであった。なんとも元気で、生き生きとしていた。
「報告します。実行犯12人のうち、7名を逮捕。残り5名は死亡。こちらはけが人が三名。死者が一名です」
「そうか…」
「ですが、人質は全員無事です。いやぁ、どうなることかと…、失礼しました。報告は以上です。」
「かまわないさ。もう任務は終わった。それに…、いつの時代も、人間が人間らしさを失ってはならん」
「は、はあ」
「ところで、何文字オーバーだ?」
「さあ?5文字ぐらいじゃないですか?僕たち頑張ったし」
夕暮れの赤坂に、二つの笑い声が灯った。
緊急指令 500文字以内に人質を救出せよ 源義史 @yoshifumi_minamoto
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