第169話 量産型ゴーレム製作
冒険者ギルドを出た後、図書館にも寄って情報を確認。しかし
それでも小説その他、計
大きい方の3階建てを出し、適当なテイクアウトを食べながら作戦会議を開催する。
「結局フミノに頼ってしまうけれど、ゴーレムを使うしかないかなと思うの。他に何かいい方法あるかな。無茶は無しとして」
まずはリディナがそう切り出した。
無茶を承知の方法なら私もいくつか思いつく。縮地で一気に敵がいそうな場所へ飛び込むとか。ただリディナに先に駄目出しされてしまった。だから言えない。
ただゴーレム案には少し不安がある。
「あの先が見えない場所でゴーレムが操縦出来るかがわからない。偵察魔法ではあの先が見えなかった」
「それは大丈夫だと思うよ。図書館でその辺も調べてみたから。
2年前、第六騎士団の魔道士連隊がシンプローン
変異部分を含むかなりの範囲をゴーレムで探査し
リディナ、図書館でそんな事まで調べていたのか。
「気づかなかった。そのゴーレムの報告書、後で読んでみたい」
「閲覧専用コーナーにあったから買えないけれど行けば読めると思うよ。あの手の報告書は大抵の図書館に置いてあるし。何ならフミノの魔法で写しを取ってもいいと思う」
うん、是非そうしよう。
「わかった。なら問題無い。シェリーちゃんやバーボン君位の大きさなら1日あれば2体は新造できる。材料はまだストックがある。あと送り込み用台車を作れば縮地で一気に近づく事も可能」
「シェリーちゃんやバーボン君くらいの作り込みはしなくてもいいかな。移動できて敵の攻撃を避けられて魔法を撃てれば。だから外装も最小限で軽くて、そのかわり動きが速いので。
動きが速く出来るなら私はバーボン君に似た形がいいな。バーボン君なら動かすのも慣れているから」
高機能版ではなく軽量高機動型か。ジ●・ライトアーマーとかパジャマソルテ●ック路線だな。了解だ。
「セレスもそれでいい?」
「ええ。私もバーボン君に似た形でお願いします」
「なら明日はあの分岐に近づかない範囲でセレスと2人で魔物退治ね。魔物はある程度狩っておかないと
フミノは洞窟内、入口付近にリビング用の平屋を出して、基本的にゴーレム作りに集中してもらう。それでいい?」
「わかりました」
妥当な線だろう。あの分岐に近づかなければ大丈夫そうだし。
だから私も頷く。
「ところで今日は夕食はストックのものでいいかな。魔力を目一杯使う訓練して、早めに休もうと思うの。明日も魔法を目一杯使うから魔力を少しでも上げておきたいしね」
うーむリディナ、やる気だな。
「わかった」
「私もそうします」
セレスもそうするようだ。
なら私も今日は早めに休もうかな。でもその前に明日作るゴーレムの準備をしておこう。
準備が終わったらリディナとセレスの様子を見て、2人が休んだらお風呂かな。お風呂に入りながらいつもと少し違う訓練をしておこう。
普通は魔物討伐に使う視点は1つだけ。他の視点は安全確認等の為だけに使っている。魔物討伐は魔物の種類、動向、大きさ等注意事項が多いので、同時進行でやると大変だから。
しかし今日は同時に2箇所で魔物狩りをやってみよう。ゴーレムを複数同時に使う訓練として。
ヴィラル司祭は自分以外に3体のゴーレムを同時に操る事が出来た。私が一気にそこまでやるのは無理だろう。でも2体まで、あるいは自分自身とゴーレム1体までなら出来そうな気がする。
以前クロッカリと対峙する前、おとりでシェリーちゃん経由でバーボン君を操縦した事があった。あの時、ゴーレムを操縦しながら自分に対する攻撃を感知して避ける事が出来た。
勿論あの時、自分が攻撃される可能性を意識していたというのはある。でもゴーレムと私、あるいはゴーレム2体を同時に動かせるのなら、私が1人増えたのと同じ攻撃力だ。試して損はない。
それにクロッカリとの戦いで空属性のレベルが更に上がっている。だから大丈夫な気がするのだ。
◇◇◇
2日目に通った南側の入口から中へ入る。
こっちを使う理由は分岐や脇道が全て左側にあるから。
中へ入って路面が現れたあたりで止まり、リビング用平屋を出す。
「それじゃフミノ、ゴーレムはお願いね」
「わかった」
魔物退治はリディナとセレスに任せ、私は中でゴーレム製作だ。勿論偵察魔法による全周囲警戒はそのままだけれども。
なお魔物の数は昨日と同程度、つまり減っている気配はない。2日間にわたってそれぞれ100匹以上倒したのだけれど、
さて、ゴーレムつくりにとりかかろう。
今回は
部品の形そのものはバーボン君と同じ。ただし少しだけ考えた結果、大きさと幅方向は同じまま高さ方向を長く。これは視界と運動性能、特に速さを重視した為。
足の長さの可変機構は省略。更にフレームの一部はそれほどの力がかからない事から鉄からアコチェーノエンジュへと変更。
魔力導線は少しだけ贅沢に太めの銀線を使用。これである程度速さが出るようにする。関節等のローラーベアリングは簡素化の為に省略。
なお部品は5頭分を一気に作っている。私の魔法&スキルを使えば量産はそれほど手間ではない。なら少ないより多い方がいいだろう。
魔力受容体は銀か銅で作るつもりだった。しかしここは速度と反応性を重視し、勿体ないが
うーむ、原型があるものはやっぱり作るのが楽だ。試行錯誤が無い分、あっさりストレスなく出来る。よし、完成だ。
しかし完成したから即実戦投入可能という訳ではない。使用中に故障したり不具合が生じたりしないか確認が必要。
そして確認するなら実際に近い状況で使用した方がいい。つまり魔物相手の実戦で試すのが一番だろう。この辺の魔物相手なら万が一不具合が起きても私自身の魔法で対処出来るし。
リディナ達の様子を伺う。2人は交代で休憩しながら戦っているようだ。今のところ結構余裕がある感じ。出てくる魔物の数も比較的一定で問題は無さそうだ。
よし出来た。それでは起動魔法をかけて試運転。
でもその前に名前をどうしようか。プル、プルツーという路線は全滅しそうだからやめておこう。5頭だしユイ、デュオ、トロワ、カトル、ウーフェイでいいか。
トロワ、カトル辺りで前にレイ・Noとかつける別案も浮かんだけれど却下で。
お約束の土人形儀式を執り行いユイ君起動。うん、視界はバーボン君よりやや高くて見やすい。ゆっくり歩く分の動きも悪くない。
でもユイ君という名前では別のアニメが思い浮かんでしまう。レイ・Noとかつけたくなる方の。よし、名前変更、ヒイロ君に訂正。
実戦で試してみよう。ユイ君改めヒイロ君を開けたままの扉から外へ出し、リディナとセレスに声をかける。
「試作品が出来たから試運転したい。少し戦ってみていい?」
「わかった。それじゃ今届く範囲を一掃するから、その後お願い。セレス、あれ使うから」
すっとセレスが下がる。何をやるつもりだろう、リディナ。
「
知らない呪文だ。強烈な風が前方
ただその風はどうやら普通の強風では無い。ガンガンに魔物を切り刻んでいる。どうやら
「なかなか凶悪」
「風属性レベル6の攻撃魔法よ。相変わらず素材がとれる相手には向かないけれどね。ある程度遠方にも使えるし残骸が中心にまとまるからこういう時は使いやすいかな。その分魔力も必要になるけれど」
リディナのステータスを見てみる。確かに風属性のレベルが6になっていた。どうやら此処で攻撃魔法を使いまくった事によりレベルが上がった模様。
セレスの方を見ると、こちらも水属性のレベルが5になっている。新しい魔法もおぼえたようだ。
一方で私、一番適性がある空属性でもレベルは5になったばかり。セレスに追いつかれてしまった。まあいいけれど。
それでは試運転というか実戦試験、はじめるとしよう。行け! ヒイロ君!
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