第6話
寝る前、私はノートを取り出した。
なんでこんなもの持って帰ってきてしまったんだろう。
私は村井先輩のことが好きなのだろうか。
きっと違う。
最初は気になっていたが、村井先輩のことはむしろ苦手、嫌いな気がする。
ではなぜ持って帰ってしまったのだろう。
そう、理由はただ一つ。
面白そうだから。
それに、せっかく頑張って話しかけたのに無視するなんてひどくない?
せっかく勇気を出して、ギターを教えてください、って言ったのにさ。
乙女心弄んだ罰よ。
そう言い聞かせて、私はノートを開いた。
村井先輩の秘密を見てやろうではないか。
ノートには、歌詞のようなものの下に、CとかFとかコードがかいてあった。
村井先輩、作曲とかしてるのかな。
ノートには日記も書いてあった。
私はベッドの中でノートを読んで、寝た。
その日、不思議な夢を見た。
私はとある部屋にいて、なぜか私はその部屋をよく知っているような気がした。
まるで昔からそこに住んでいるかのように。
「なおとー」
と下から声が聞こえてくる。
はじめてきいた女の人の声だったが、お母さんの声だ、と思った。
私は、はーい、と返事をすると、階段を降りた。
ご飯ができていた。
お父さん、お母さんと三人でご飯を食べる。
そして、なおと、こと私は自分の部屋に戻った。
勉強机に向かう。
机の上には、寝る前に読んだ、村井先輩のノートがあった。
私はノートを開いた。
少し考えてから、
「友達が欲しい」
と書いた。
なぜそんなことを書いたのか分からなかった。
棚を見ると、漫画が一巻から綺麗に並べられている。ハンターハンターと書かれていた。ベッドの上には青いイルカのぬいぐるみがあった。
ここは村井先輩の部屋に違いないと思った。
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