第7話 強引な三次会

重い足取りでダイニングバーへと向かう



一体彼女は何を考えてるんだ


なんで僕は巻き込まれてるんだ


はあ


彼女はともかく、僕なんか居なくても顔だしてもう2人に顔を立てたからいいだろうに



とぼとぼと歩く僕


「美味しい食事の出るダイニングバーだといいですわね 」


不意に真後ろから声が聞こえた


いつの間にか取り巻きから離れて

やって来たようだ


いいよ来なくて、その他もこっちに来てわちゃわちゃと向かうのは嫌だよ


心の中で心底思った



「あのさ、なんで俺まで巻き込むんですか?」


勘弁してくれという態度で訊ねる


「えー、私1人連れてかれるのって不平等じゃないですかー」


いや、知らんがな


君には需要があって僕にはない


何ら不平等はない



「私にはありますから」



何も言ってもないのにエスパーよろしく、心の中で思ったことの返答が来た


「それは需要と言うより巻き込みでは」


ジト目で彼女を見つめる


「まあいいじゃない。上野君が帰るから私も帰りますで帰ったら、皆上野君に不満持ちますよー」


「ちょっと待って。それ俺を引き合いにヘイトが俺に来るように仕向けてるよね?」


「いえ?そんな事?私は単に上野君が帰ったらつまらないので帰る。上野君がまだ参加するなら参加する、それだけよ。」


いや、だからそれ周りからしたら僕帰る=貴女が帰るわけで、そういうことになるじゃん


「かと言って、二次会も参加はしますけど囲まれるのは厄介なので上野君近くに居て、近づくなオーラ出してくださいねそれなりに」


僕は貴方の盾かなんかですか


「出すも何も別に意識してない」


ぶっきらぼうに、答えた


ふふっ、と可笑しそうになぜか笑う秋葉さん


読めない人だ本当に




15分もするとダイニングバーに着いた


カラオケのメンバーの正確な人数は知らないけれど半数以上が、特に男子がこちらに来ていた


まあ、理由は言わずもがなだとは思うけど



カウンターの端の方を選び腰掛ける


同時に裾を引かれて1つズラされる


秋葉さんだ


1番角に彼女が座り、2番目に移動させられる


これで、彼女の隣は誰も座れない


そこまでするなら来なきゃいいのに


と言うか、僕を巻き込んでまでわざわざ二次会になぜ来た


全く意図が読めない


こうして二次会は始まった




代々木くんと駿は近くの居酒屋と往復するようで、せわしなさそう


一瞬こっちに来て


姫のこと宜しくねと、なにを宜しくするのか分からないが爽やかな笑顔を浮かべ宜しくされた



乾杯を済ませると2人はすぐに居酒屋へと向かって行った


大変そうだなぁ


ライムハイとつまみをつつきながら背中を見送った


秋葉さんはソフトドリンクに軽食をオーダーしていた


グラスを片手に何人か早速と近づいてくる


隣りに座ってる僕も当然、意味不明なテンションの乾杯に巻き込まれる


苦笑いとも愛想笑いとも言えない顔をしてる気がする


秋葉さんはいつものテンションで無難に合わせている


1人でも大丈夫じゃん



「2人とも端に居ないでボックスこよーよー」


などと、まあ当然声がかかる


「私も上野君も出来るだけ参加させて頂こうと思うのですが、ちょっと輪の中にずっといると慣れないもので疲れてしまうので」


まあ確かに僕もそれはあるけど


巻き込むな


そもそもここに参加する気なんて無かったよ


なんの気まぐれか


僕には分かる由もないが


あ、こら勝手にライムハイ飲むな


背を向けて僕の煙草吸うな


「あ、大丈夫よ、上野君にちょっと試しにやってみろよって強要されたと言うので」



だいじょばないです


助けてくれ、代々木君、駿


ため息が出る



「クラブってどんな感じなのかしら?」


唐突に言い出す秋葉さん


え、行くの?


「どんなって、ふつーに音樂流れてて踊ったり飲んだり、って行ったことない?」


「ええ、別に深い興味はないけど、どんな所なのか軽い好奇心程度には気になって」


どっちだよ



「まあ、二次会まで居たんだし、行ったらどう?代々木君達も居るし別に不愉快なことも無いと思うし」



「上野君は行ったことあるのかしら?」


「俺?それなりに、どっちかと言うとライブハウスのが割合高いけど」


「じゃあ楽しみ方それなりに知ってるのね。楽しませてくれるの期待してるわ」


「ちょっと待った、行かないよ?もう帰るよ」



「そうなの?残念ね、じゃあ私もお暇しようかしら......上野君が来ないし帰ろうって言われたからお暇しますって皆にお伝えして」



「ちょっ、なんで俺?!しかも何も言ってないだろ?行ってこればいいじゃん」


あさっての方向を向いてフルシカトの秋葉さん



マジでなんなのこの子



「はー、貴方は勝手知ったる遊び場だからまた別の機会に行くのよね。私は行ったことも無いし、御一緒するような人も居ない。今日は折角行く機会。それではいいってらっしゃいって、、これで万が一があったら心が痛まないのかしら。俺が付き合ってやってればーって。後悔って字のごとくよ。」


ナチュって、いや、全然ナチュラルじゃない強制に罪悪感を植え付けようとしてくんなこの子


噂はあくまで噂だけど



キャラ違いすぎだろ!



「はー、、分かったよ分かりましたよ」


「あら、見た目の割にやっぱり随分と面倒見いいのね」


「どういう意味だよ」


「褒め言葉よ」


僕のライムハイを手に取り、何処と無く子供じみた笑顔を浮かべた秋葉さん



彼女が三次会のクラブの参加に○を付けると、凄まじい勢いでみんなのテンションが上がった


こうして、三次会まで付き合わされるはめとなった僕だった



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プラトニックラプソディ みなみくん @minamikun

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