第2話 パン

 突然、同い年くらいの人が居たので、声を掛けて、パンを食べることを誘った。でも、フラれてしまった。

 メロンパンとミルクのパックが隣に置いた。香織は空を見上げると、どんよりした雲が、灰色が放物線のように目立っていた。それがだんだん、笑った口に見えてくる。

 袋からクロワッサンを取り出して、口に放り込む。どんよりした雲が女性の顔へと移り変わっていく。一点を見つめながら、パジャマ姿のまま、ベンチに座っていた。何かに失敗して、絶望にうちしがれているような顔で、どんよりしていた。目の色が灰色になって、絶望しているように見えた。絶望が全ての希望と自信を奪っていくこような姿に、香織は何かしたかった。


「フラれたんだ」

「何が?」

 パン屋から、たもつが出てきて、隣に腰を下ろした。そして、置いていたメロンパンを食べ始める。

「人は悩むことが趣味だよね」

保は言葉を噛み締めて、笑っている。

「バカなんじゃない」

「バカかな」

大笑いして、保はパックの潰して、牛乳を飲みほした。

「じゃあ、俺は戻るわ。香織も準備しろよ」

「はい、はい」

女性は、またここに来るのだろうか。そう思いながら、香織は、パン屋へと戻って行った。

 


 

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