第21話

 シオンを探すべく学院内を駆け回っているシュン達だが、一向に見つからない。フレンの追跡の精度は間接的なものだとこれ以上は無理らしくあとは自分達で探すしかないのだ。


 三人いるため本来ならば、別れて探すのがちょうどいいのだろうが、ヒナとヤナの危険性があがるためこれ以上は無理だった。


 ――っち、どこだどこにいる!!


 そんなとき、シュンのよく知る人物と出会った。


「カイトか!?」


「お? おお!? なんかシュンの雰囲気が違うんだが!? なにがあった!?」


「話している暇はない! というよりカイトはこんな所で何をしているんだ?」


「俺か? いきなり《幻想種》が学院に現れてみんなと一緒にてんやわんやしながら、戦っていただけだよ。んで疲れたから隠れて休憩してるところにシュン達が来たってわけ」


「なるほど」


 よく見れば、カイトの制服にあちこち戦闘痕のような汚れや傷があった。他の生徒と同じく戦っていたのだろう。身体に傷がないことから〝救済教団〟のメンバーとは戦わずに低位種の《幻想種》とだけ上手く戦ったのだろう。


 カイトののことはほどほどにして、シュンは自分がここに来ている目的を果たすためにカイトにぼかしたまま問いかける。


「カイト、シオンを……八幡シオンを見ていないか?」


「姫さん? いや、見てないけど……一緒じゃないのか?」


「そうか、感謝する」


 そう言ってシュンはまた駆け出そうとするのだが、ヒナとヤナがカイトに別の問いかけをする。


「ちょっといいかなー?」


「ん? 別にいいが……」


 なんでこんな所に中等部の生徒が? という疑問は隠しきれていないようだが質問に答える気はあるようだった。


「なにか怪しいものとか見なかったですか? 白装束とかです」


「……ああ、参考になるかは知らんがグラウンドの方に白い服を着た部外者っぽい奴が行くのなら見たぞ」


 あっさりと答えたカイトにシュン達は顔を見合わせて頷く。


「助かった! カイト!!」


「「カイト先輩ありがとうかなー(ありがとなのです)!」」


「お? おー? よく分からんが頑張れよー」


 ポカンとしたままのカイトに見送られながら、三人はグラウンドへと向かうのだった。


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