第3話 双子の妹が俺に彼女を作れと言ってくるんだが

静江は自分の席に座り俺の隣にいる。

俺は静江の顔を見ると静江も俺の方を向き微笑む。

その微笑みはとても可愛いが少し怖さもある。

きっと転校して俺の学校に来たと言う事は何かがあってだと思う。

親はよく許したなと俺は思った。

その後朝のホームルームが終わり新学期始まりなので全校集会をした後学校は終わる。

どうでもいい校長の話を聞いて生徒は帰宅を始める。

俺も帰宅の準備を済ませ隣にいる静江に話しかけようとしたがクラスの皆が静江を囲んで色々と話かけ始める。

「静江さんって本当に莉玖くんの妹なの?」

一人の女子生徒が言い始める。

その質問を笑顔で返す。

「はい、そうですよ。私と隣にいる人は双子の兄です」

そう言いながら俺の方に視線を向ける。

俺は無視をし帰る準備をする。

「でも、顔全然似てないよね」

性格悪そうな顔をしている男が良い始める。

俺はそんな事言われなくてもわかっていると毎回思ってしまう。

お前らより俺の方が一番わかっているんだぞと言いたい気持ちがあったが心に閉じ込めた。

色々質問されていたが静江は「すいません。まだ転校の手続き終わってないので」と言って教室を出て行った。

クラスの皆はその後すぐに帰宅をする。

俺も人混みがなくなったところですぐに帰宅をする。

恐らく俺のアパートに静江は来ると思ったからだ。

ある程度掃除をしないと何を言い出すかわからないと思ったからだ。

すぐに帰宅をして部屋に入りゴミ袋をだしテーブルにパンの袋やペットボトルなどを入れる。

数十分後

部屋から玄関のチャイム音がなりドアを開けると静江がいた。

「お久しぶりだね。兄さん」

「おう」

部屋に静江は入りあたりを見渡す。

「おい、そんなジロジロ見るなよ。なんか嫌なんだが」

俺はついつい口を出してしまう。

すると静江が「いや、だって今日からこの部屋私も住むし汚いの嫌だからね」

「まぁ、確かに一緒に住むなら...ってはぁ???。今なんて言った?」

「だから、今日から私もここで住むことになったからよろしくね。兄さん?」

静江は何を言っているのかと思ったが確かにわざわざ兄妹が同じ学校に通っているのに部屋を別々にする必要はない。

だが俺はその事を考えていなく動揺をしてしまった。

「一緒に住むって両親はなんて言ってたんだ?」

「うんとね、『寂しいが莉玖に任せるしかない』って言ってたよ」

「なんだそれ、てか、なんで俺が通っている高校に転校してきたんだよ。まさかいじめられたのか?あまりにも男子から人気がありすぎて」

俺が言うと静江はため息をしながら「兄さんシスコン。そんな事無かったし普通に皆と仲良かったよ」

俺は決してシスコンではない。

ただ俺の大切な妹がいじめにあってなかったが心配だっただけだ。

「なら、何故この高校に?」

俺が訊くと静江はにやけながら胸を張り「それは。兄さんに彼女を作らせるためなんだよ!!」

勢いよく言って決まったみたい顔をしている静江だが何を言っているのかがわからなく沈黙する。

その沈黙は数秒置き静江が咳払いをして話を続ける。

「私は、兄さんに青春を味わってほしいの。いつも勉強ばかり友達も彼女もいたことがないそんな兄さんを私は助けたい」

可愛そうな目をしながら言ってきた静江だが俺は誤解をされているようなので静江に言う。

「静江」

「なに?」

「お前は間違っている。俺は彼女もいらないし友達もいらない何故なら勉強の邪魔になるからだ。それに俺は高校で三年間の成績がトップにならなければならない。俺たちの家は決して裕福ではない。なら、少しでもお金をかけずに大学を行った方がいいと思っている」

俺がそう言うと「そうなの。でも安心してお金の事は心配ない」

「それはどーゆことだよ」

俺が訊くと静江はバックから何かを取り出し始める。

出てきたのはファッション雑誌。

「はい。これ」と雑誌を俺に渡す。

「なんだこれ?」

俺が訊くと「これは最近流行りの女性ファッション雑誌で主に女子高生がメインになっているファッション雑誌なの今すごく人気なんだよ。兄さんも訊いた事はあるでしょ?」

そう説明されるが俺にもわかる。よくCMなどで流れていて女子高生が流行りそうな者を提供している名前はCUTAキュートだ。

俺はそんな事を聞きたいではなく何故これを出したのかが不思議で仕方がない。

「それくらいわかる。なんでこれを俺に見せたのかを訊きたいんだ」

静江は「この雑誌の九ページを開いて」と言ってくる。

俺は九ページを開くとそこには静江がいた。

「お、お前!こ、ここに静江がいる」

俺が驚くと静江はクスクスと笑いだす。

「そんな驚かなくても」

「いや、驚くだろ!なんで。まさか、お金が大丈夫って」

「うん、この一ページだけでもかなりお金は入る」

それはじっくりと静江が写っているのを見るとキャスケットを被り黒縁メガネをかけて服は白いパーカにチェックパンツをはいている。

兄妹だからわかるが他人が見たら静江だってわからないだろう。

「これ、親は?」

「うん、知っている」

「そうか」

なんか俺だけ何もないなと常々思ってしまう。

なんでもできる妹となにもできないダメな兄がいる。

いつも静江と比べられて正直それもつらくて家から遠いところにしたって気持ちもある。

ついには静江は芸能人にまでなってしまったのか。

本当にすごい奴だよ。静江は。

でも、悔しさよりも嬉しい気持ちの方がある。

俺の妹はすごい事が俺に唯一の自慢なのかもしれない。

「よかったな、静江。仕事無理せず頑張れよ」

俺は優しく言いながら微笑んだ。

すると静江は「何言っているの。頑張るのは兄さんだよ」

「え?」

「高校卒業までに彼女を作らないとね」

「いや、待て待てお金の事はわかった。だが、彼女を作る気はないぞ?」

俺が言うと呆れた顔をされた。

「あのね、私はそのために来たのに兄さんがそんなんだとダメなんです」

俺の妹は彼女を作らせるために私立の学校をやめたのかとコイツの行動力ヤバすぎると思ってしまう。

「そんな事の為に私立の学校を辞めたとかおかしいだろ!」

思った事を言うと静江は顔を下に向け「そ、そんな事言わないでよ。私は兄さんが幸せになってほしくてここまでしたのに...」

そんな露骨に悲しい声で言われたら「わかったよ。作ればいいでしょ?」

言ってしまった。本当に静江には弱いだよな俺って。

静江は元気になり「それでは、兄さんが彼女にさせる人を紹介します!」

ずいぶんと気合を入れながら言ってくる静江に俺は驚く。

静江はテーブルに写真を三枚置く。

俺はその写真を見るとその写真にはうちの学校の生徒で二人は俺と同じクラスでもう一人は見たこともない人。

「なんだこれ」

俺は棒読みで言うと静江は元気よく「これは!兄さんがこれから仲よくなりこの中の一人を彼女にすることです!」

うん、どうやら俺の妹はおかしくなってしまったようだ。

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