第4話 ダダ漏れ
玲香が出て行って1ヶ月
「センセイ、作風ちょっと変わりましたねぇ」
「え、そぉ?」
自覚なしかぁ
と呟きながら、一枚づつチェックする織田さん
「枚数半端ないんですけど、やる気出すぎじゃないですか?」
「うん、仕事に生きることにしたから」
物言いたげな視線を送られたので
さりげなく逸らす
「たまにはご飯でも食べに行きませんか?」
チェックを終えた織田さんからお誘いがあった
「え?」
たまにはって、今までそんなこと一度もなかったはず
だから織田さんのプライベートは謎に包まれている
「無理にとは言いませんけど?」
「行きます」
準備をして一緒に出て
駅前のお店へ
「織田さん、いける口ですか?」
「まぁ、そこそこ」
ということで居酒屋へ入る
「センセイ、普段ちゃんと食べてます?」
居酒屋といえど、食べ物は充実している
美味しくいただきながら
「まぁ、なんとか。あ、それで誘ってくれたんですか?」
「倒れられても困りますし」
「そうですね。ちゃんと食べるようにします」
「仕事のやる気は出てきたみたいなので、良かったです」
「有名になりたいんです」
玲香に忘れられないために
そのためなら
「メディアに顔出しもオッケーですよ」
今までNGにしていたことも受ける覚悟だ
「マジですか?あ、失礼しました」
「いいよ、仕事じゃないし。敬語やめよ。センセイもなしね」
「じゃあ、祐さん?」
「はい。えっと…なるみさん?」
「はい。」
2人して、ちょっと照れた
それから、写真の話や趣味の話をして
でも織田さんのプライベートを聞いても答えてくれなくて謎のままだ
酔いも手伝って
「え〜なるみさんズルい。私のこと全部わかってるくせに、私は全然知らないなんて不公平です」
と愚痴る
「え?なに?口説いてるの?」
「口説いたら、落ちてくれるの?」
「それはないな〜。あんな写真見せられたら…」
「写真?」
「玲香さんの写真。愛がダダ漏れじゃん!出来としては最高の作品だからさぁ、マネージャーとしては世に出したいところだけど、あれは彼女だけのもの」
悔しいけど…と微笑む
織田さんが最高と評してくれたら、自信になるな
そっか、ダダ漏れか
「ふふ」
「え?どうした?」
「いえ、織田さん…これからもよろしくお願いします」
「はい。センセイ」
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