第2話 理由
「センセイ、そろそろ個展の準備に入りたいんですけど」
個人的にマネージメントをお願いしている織田さんが来ていた
玲香はバイトへ行っている
来週には出て行く事が決まって、少しずつ荷造りをしている様子
「あぁ、うん。。ん?個展?コンクールのが先じゃない?」
「そうなんですけど。コンクールまでに間に合います?」
「え?」
「ここ数日の落ち込みようじゃ、撮れないですよね?」
げっ、バレてる
「そんなにわかりやすいかなぁ」
別れを切り出されて以来、ずっと玲香のことを考えていて
正直、写真どころじゃない
「私を誰だと思ってるんですか?今までのストックから出してみてもいいんですけど…納得出来る作品あります?」
織田さんと一緒に過去データを確認する
「ごめん、ないね。今回のコンクールはパスしてもいいかな?」
「大丈夫ですよ、個展までにはメンタル浮上させてくださいね」
「努力します」
再び玲香に思いを馳せる
どうしてなんだろう
何がいけなかったんだろう
玲香は私のせいじゃないと言うけれど
そんなことってあるのかな
何かを我慢させてたのかな
「センセイは人物は撮らないんですか?」
過去データを更に遡りながら、織田さんが聞く
私に作品は、ほとんどが風景だ
「別に、仕事の依頼なら撮るよ」
「自分からは撮らない?」
自ら撮りたいと思ったのは
1人だけ。
あっ。
「織田さん、お願いがあるんだけど。仕事じゃなくて、個人的な…」
「喜んで」
「え、内容聞かずに了承するの?」
「メンタル浮上のために必要なんですよね?」
「あ、えっと、そうかな…」
なんで分かるんだろ
織田さん、何者?
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