第26話 旗艦での紹介
艦橋内に入ると一花はまわりからの視線を浴びた。
艦橋内の兵1「おい見ろ女だ。女が将校の軍服きてるぞ」
艦橋内の兵2「ほんとだな。まだ若いがいい女じゃないか」
園田一花「先輩、皆私が女ということで注目してますよ」
岡本晃司「うん。山本長官、宇垣参謀長、黒島首席参謀以外、俺の
正体と君の存在自体教えてないからね」
一花「そうなんですね」
晃司「・・すみません山本長官はどちらへ行かれましたか?」
艦橋内の兵3「山本長官なら宇垣参謀長と黒島首席参謀と作戦室へ
行かれたぞ」
晃司「そうですかありがとうございます。ちょうどいいね、
後の二人も一緒のようや」
一花「ですね、ちょっと緊張しますが」
晃司「大丈夫大丈夫、挨拶するだけやし」
一花「はい」
晃司「ここよ」
晃司は一花を連れて作戦室へ入った。
晃司「岡本中尉です、失礼します。園田一花少尉を連れて参りました」
山本五十六「おお、君が園田一花君いや少尉か、山本五十六だ」
一花「初めまして山本長官、園田一花です。お目にかかり光栄です」
晃司「こちら宇垣参謀長、こちらが黒島首席参謀よ。さっきも言った様に
お三方には俺の事も含めて、君の事は話してあるからね」
宇垣纒「宇垣纒だ。宜しく」
黒島亀人「黒島亀人だ。宜しくな」
一花「初めまして宇垣参謀長、黒島首席参謀、園田一花です。こんなに歴史上の
人物に名前を憶えてもらえるなんて、ほんとに光栄なことです」
黒島「山本長官はともかく俺達がそんなに有名なのかい?園田少尉」
一花「はい。特に私たち半分軍属のようなものですから、
よく存じているつもりです」
晃司「中でも彼女は歴史、特に戦史に傑出(けっしゅつ)していますから
なおさらだと思いますよ」
一花「あまり持ち上げないでください先輩、緊張してしまいます」
山本「女性とはいえもう同じ軍属だ、そんなにかたくならんでいい、
園田少尉」
一花「はい、山本長官」
晃司「ところで山本長官、お三方でなにを会議なされていたんですか?」
山本「今後の大局的な方針についてだ。我々はインド洋侵攻の作戦を
立てている。
晃司、お前はジャワ島方面の侵攻を考えてくれたらいい」
宇垣「長官、戦史にも明るいと言われる園田少尉もいることですし、
二人の意見も聞いてみてはいかがでしょうか」
山本「まあそれも考えてはいたんだが、晃司はジャワ島方面のことで手一杯
だろうし、園田少尉は軍令部直属だ。
言いにくいこともあるだろうしな」
晃司「長官、僕たちがこの歴史に介入したことで、少し史実に変化が見られます。
僕はジャワ島方面に行くことで、それらを調整して今後史実と、
どこがどれだけ違うかの確認もしなければなりません。
やはり今のところ大局的にはあまり大きく干渉しない
ほうが無難かと思います」
宇垣「岡本中尉、するとやはり我々は国力の違いで長期戦にもちこまれ、
ジリ貧になって、敗北するというわけかね?」
晃司「宇垣参謀長、失礼ながらそれもあまり詳細に申し上げると、
大局に影響があるかもしれませんので、今は差し控えさせて
もらいます」
山本「やはり戦略的な骨格は我々が作ったほうがいいということだな、晃司」
晃司「そう思います、長官」
山本「宇垣参謀長、我々は彼らにより未来を知った。この戦争においては
外務省暗号はもとより海軍暗号の解読の可能性まで知った。
あまりこれ以上知ってしまうのもどうかとおもうんだが。
黒島はどう思う」
黒島「私もあまり彼らに無理強いするのはどうかと思います。
彼らには彼らの考えもあるでしょう。
そのときに応じて頼りにしてみましょう。
ただ海軍暗号の解読に関しては、大いに注意を払うべきだと思います。
この事も、今回のジャワ島方面の作戦で、岡本中尉に確認して
もらいましょう」
山本「そうだな、今回のジャワ島方面の責任は高橋に一番あるが、
晃司お前の役割も大きいぞ。
あと園田少尉、折角の君の知識だが、どうも使わないほうがよさそうだ、
残念だが分かってくれるな」
一花「はい、山本長官、やはり私は軍令部直属ですし、あまり口出すのも
どうかと思います。
今回は皆さんにご挨拶できただけでよかったと思います」
山本「そうか。あそうだ今回のジャワ島方面の作戦について、晃司を遣いに
やる旨、軍令部に伝えてくれないか。
出来る限り暗号電文は使わない方が無難だからな」
一花「はい長官、分かりました。総長には私から報告しておきます」
山本「宜しく頼む。それと永野総長の様子はどうだ?園田少尉」
一花「これは言っていいかと思いますが、史実どおり海戦後、軍令部の仕事を
実質伊藤整一次長等に任せて、自らは戦死者の墓碑銘を書く日が多く
なってきております」
山本「そうか。まああまり君もここに長居するのもなんだろう、軍令部に
帰ったら総長に今話した内容も伝えておいてくれ」
一花「はい。それではお三方、私はこの辺で失礼したいと思います」
黒島「おう、総長にも宜しくな、少尉」
宇垣「また無事会える日を待っている。園田少尉」
一花「はい宇垣参謀長、黒島首席参謀。それでは失礼致します、山本長官、
皆さん、先輩を宜しくお願い致します」
晃司「山本長官、もう暗いですし、園田少尉を駅まで送って参ります」
山本「わかった頼む、晃司」
晃司「それでは行ってきます」
晃司と一花は作戦室を出て駅まで行った。
一花「先輩わざわざありがとうございます。ジャワ島方面の海戦くれぐれも
お気をつけて下さい」
晃司「ありがとう。作戦は今回、何個かケースによって、考えてあるよ、
そう心配はいらないよ」
一花「うまくいくといいですね。ご無事に帰還されることを祈っています」
晃司「ありがとう。園田さんいや、一花」
一花「はい、岡本先輩、んーん、晃司さん」
晃司はそっと一花のおでこにキスをした。
一花「先輩どうせなら・・あ、いえ、その」
晃司「一花、この続きは俺が無事帰還して、次に会った時に、ね」
一花「はい。次の再開を心待ちにしておきます。いってらっしゃいませ」
晃司「うん。あそれと一花、頼みがあるんやけど、今回無事作戦を成功させて
帰還したことを、草鹿学校長に報告してもらうよう、総長に頼んで
もらっていいかな。校長には、ひいお爺ちゃんに伝言してもらうよう
にしてもらったらいいし」
一花「あそうですね、学校長にはまだ今回の件連絡行ってないかもしれません
もんね。わかりました、総長にこの件、伝えておきます、
安心して下さい。晃司さんのひいお爺さんも、晃司さんが
山本五十六大将のもとで、ご活躍していると、知れば
すごく喜ぶと思いますよ」
晃司「ありがと。ひい爺ちゃんには、どこまで話すのか校長に任せるよ。
戦いはまだこれからやしね」
一花「そうですね。どうか次もご無事で」
晃司「うん、ありがと。じゃあ俺はここで」
香織「はい」
晃司と一花は別れ、晃司は旗艦大和艦橋に戻った。
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