魔王城にて
「勇者ちゃん😃おぢさんのためにおしゃれしてくれたのかな⁉️おぢさんオシャレ👗はわからないケド勇者ちゃんが一番きれいだよ😂」
「舐めてんのか!? 直接話せ!」
「魔王様はシャイなのだ。女人と直接話すのが苦手な為、筆談での対話を希望している」
禍々しい獣の石像が並ぶ広間、その中央にある長い階段の上に現れたのは紫の肌にローブを纏った美丈夫の悪魔、そして紫と黒のオーラのようなもので体を隠した魔王だった。
美丈夫の悪魔が掌に載せているのは、菱形の水晶。そこから放たれた、四角く広がった白い光の中に、魔王の言葉が少しずつ浮かんでいく。
「勇者ちゃん😃目上の人に汚い言葉を使うのはいけません😡おぢさんは優しいので許してあげます😤社会に出たときが心配です😅これからゆっくりおぢさんが教えてあげるネ💉なんちゃって🤣」
「賢者! 魔法使い! いくぞ!」
「は、はい!」
「いいんですか!?」
「勇者ちゃん☺️そんなに急がなくてもおぢさんは逃げたりしません😤お友達も慌てているよ⁉️おぢさんと身体で語り合いたいのかな⁉️なんちゃって😂お友達の準備を待ってあげようね☺️」
文字が見えたと思ったら、私の体が硬直する。
そのまま前につんのめりそうになる私を、いつのまにか近くに来ていた美丈夫の悪魔が支えて立て直した。
私を挟むように立っている魔法使いと賢者の顔からはどんどん血の気がひいていく。
当たり前だ。私たちが殺すつもりで来たというとに、魔王も配下の悪魔もまるで子供をあしらうような舐めた態度を崩さないなんて……。
「あ、あの……わたしどもは大丈夫ですので」
「勇者ちゃんを……助けてください」
「勇者ちゃん☺️素敵なお友達がいたんだね⁉️おぢさん感激しちゃった😂勇者ちゃんみたいに🌷優しい子🌷を戦いに誘う悪い子😈だと思ってたから殺しちゃおうと思っていたんだ👊💢」
美丈夫の悪魔はため息を吐きながら、階段の上から動かない魔王をジロリと睨み付ける。
「勇者ちゃん😀君がこっちに来てくれたらお友達は街に帰してあげます😤おぢさんは可愛い子に弱いからね🤣あ⁉️でも勇者ちゃん一筋だよ🥰浮気はしないから安心してね☺️」
体の硬直が急に解けて、上げていた手も足もスッと力が抜ける。
両隣にいる仲間たちは、カチカチと歯を鳴らしながら震えていた。
こんな状況じゃ、戦っても勝ち目はない……か……。
「わかった。私がそちらへ行く。二人は街に帰してやってくれ」
パチリと指を鳴らす音がして、私の両隣にいた二人の姿が消えた。
驚く間も無く、水晶から発せられている光の中に王都の城下町で辺りを見回している二人の姿が浮かび上がった。
「おぢさんは勇者ちゃんを心配しています😢おぢさんが勇者ちゃんが怪我をしないように💪手取り足取り😘鍛えてあげます👊」
瞬きをした瞬間、私は魔王の隣にいた。
黒と紫のオーラが歪み、空間の狭間から生白い肌の筋肉質な腕がにょきっと現れる。
今しかないと思った。剣の柄に手をかける。
私は、その空間の狭間に向けて手にしていた聖剣を思い切り突き立てた。
地鳴りのような低い唸り声と共に、景色が揺らぎ、私の目の前は真っ暗になった。
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