女の子と話したら
声が聞こえなくなった後はいつも通りに仕事をして1日を過ごした。
あとは、寝るだけだ。
ふー、今日は疲れた。いつも以上に。
早く寝よう。
そう思ってベッドの上に仰向けに寝っ転がった。
すると、突然、女性が現れた。しかも、俺の腹の上に座っている。俺と同じ20代くらいで、可愛らしいくて髪の長い女性が。
いや、なんだこれ。夢か?
訳が分からなくて、どうしようかと考えているとその女性が俺と目を合わせて動き出した。
俺と目を合わせたまま、俺の顔に彼女の顔が近づいてくる。
俺の顔の横に手をつき、鼻と鼻が当たるのではないかと言うくらい近くに顔を近づけてきた。
そして、にっこりと微笑んで、
「わたしと、結婚してください」
と言った。
こんな可愛い女性が、俺に、結婚してくださいって?
これは夢ではないのだろうか、いや
夢に違いない。絶対夢だ。こんなに可愛い子が俺にプロポーズするはずがない。
俺はいつのまにか寝てしまったみたいだ。
つまり、これが夢だということは、醒めてしまうということだ。
夢から醒めてしまう前に、俺は、
「はい、喜んで。俺で良ければ結婚してください」
と言って返事をした。
だって、夢の中でくらい可愛い女の子と結婚したいんだもん!
「ふふっ、嬉しい。ありがとう」
彼女は嬉しそうにそう言った。
よし、この流れで、この可愛い彼女、いや、俺の妻と、キスを…。
そう思って、彼女の頬に触れて、キスをした。
一度、唇を離してもう一度キスしようとした時、彼女は笑みを浮かべた。今までの可愛らしい笑みとは違う、不敵な笑みを。
どうしたのだろう、と考えた一瞬で彼女は消えてしまった。
呆然としていると、壁から今朝聞いたのと同じ声が聞こえてきた。
『やったー!結婚してくれてありがとう!』
「は?」
壁から嬉しそうな声が聞こえてきた。
意味がわからない。
俺は、夢の中で可愛い女の子と結婚したはずだ。決して家とは結婚していない。
「俺は可愛い女の子と結婚したけど、君とは結婚してない」
『ふーん、さっきの可愛い子ね…。あれ、わたしだよ。気づかなかったでしょ。あっ、でも、もう結婚は取り消せないからね。さっきのキスで契約完了したからね!やったー!はじめくん、これで夫婦だね』
今日1日聞いた中で1番嬉しそうな声だ。
まじか、やってしまった。…家と結婚するなんて。最悪だ…。
だって、あんな可愛い女の子にああやってプロポーズされたらついついオッケーしちゃうよな、普通。
…ん?まてよ、さっきの可愛い子が家だということは…
「ねえ、もしかして、君さ、あの姿になれるのか?」
『もちろん!はじめくんさっきの気に入ったの?』
「…まあ、ね」
だって好みの女の子だったし、そりゃ気にいるよ。可愛いし。
『よかった!はじめくんの好みの子になったつもりだったから気に入ってもらえてよかった…。…じゃあ、結婚に異論なしということで!今日はもう遅いからまた明日色々話そ!おやすみ!』
そう嬉しそうな声が聞こえた後、また声が聞こえなくなった。
……。
…とりあえず、寝る。
なんか色々あったけど、考えるのを放棄して寝ることにした。
あー、朝起きたら、無かったことになってないかな…。
朝、可愛い女の人に起こされてこんなのも悪くないかな…、って思ったとか、思ってないとか。
お家と結婚しました!! ネオン @neon_
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