第7話 動き出す放課後5
十八時を告げるチャイムが鳴り響く。
今日一日で部員全員と交流することが出来た。
時間も帰宅に丁度良い時間だ。各々も帰り支度を始めている。
レイジもそれに倣い帰り支度を始めた。
先陣を切ったのはミカサだった。
「僕はバイトがあるからこの辺で失礼するよ」
男装の麗人は部室を去っていった。
それに続き、ニコ、シノンも帰っていく。
「失礼します。先輩方」
「では、また明日」
二人だけ残される形となったレイジとヒトミ。
帰り道は途中まで一緒だ。
「久しぶりに一緒に帰らないか?」
少し恥ずかしかったが、せっかくなので提案するレイジ。
「わかった。カギ閉めがあるからちょっと待ってて!」
ヒトミは職員室へと歩を進めた。
―――数分後。
校門を出た二人は夕暮れの中、閑静な住宅街を歩いていく。
最近は陽が落ちるのも遅くなってきた。子供たちもまだ公園で遊んでいる。
帰路の最中、レイジが口を開く。
「俺さ、明日も部活出るよ」
レイジは、ヒトミは驚くだろうと思った。名前だけ貸すという条件だったからだ。
しかし彼の思いとは逆に彼女は平然としていた。
「……楽しかったんでしょ?」
やはり付き合いが長いだけあってヒトミは気づいていた。
「最初は可愛い女の子たちと過ごせるなら役得だなって、打算的な気持ちだったんだけど、大勢でガヤガヤ意味のない時間を過ごすのも悪くないなって……」
観念した様に呟く。
「そっか……、うん。良いと思う」
ヒトミは一人で何か納得しているようだった。
別れのバス停まで二分ほどの距離。
住宅街を抜け、寂寥が二人を染め上げる。
「明日も待ってるから。じゃあね!」
それだけ言い残すとヒトミは駆け出す。
タイミングよく迎えのバスが来ていた。
手を振るレイジを残し、バスは走り出す。
果たして彼女はゲームを返してくれるのだろうか。
そんなことを考えながらレイジは歩き出した。
こうして長い放課後の一日が終わった。
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