17 アマゆくフネとウオとトリとヒトと

海と空

いにしえにはアマとよばれた


あまあま

きっと同じひとつのものだった


あま磐船いわふねは神々を乗せ

下界の海をも渡っただろう


今も天の川にあるそのフネは

再び海へと降りるだろうか


海は空を映し

水平線と空は解け合う


リュウグウノツカイは海と空とを行き来し

ミノカサゴは風車を回し帆をはって天にいたにちがいない


今も思っているかもしれない

海ではなく天にいるのだと


海のトビウオは空を目指して飛ぶ

雲間を翔けた空に還りたくて


空のトリは海を目指してダイブする

海へと還ったあのトリに憧れて


ヒトもまた海と潮騒を懐かしみ

深海に溶けゆこうと願うのだろう


あまあま

海と空が同じひとつのものであったのなら


人はいつか海へと還り

空へと還る日もきっとくる


   (2021 H3/02/22)


**************


 久しぶりに詩を書いてみました。

「創世神話 (改)」や「貝の中の真珠のように」の小説中の歌詞以外で詩を書くのは16年ぶりです。

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