11 瑠璃の真名井《るりのまない》

その深い真名井まない

様々な色の玻璃の欠片を

城壁の石組みのように積み上げて

湧き出る泉を守っている


玻璃のモザイクで囲まれた

その深い真名井は

閉ざされた城門のようにかたくなに

小さな泉を守っている


けれど玻璃の真名井はあまりに脆く

積み上げても積み上げても

繊細で危ういのだ

無垢な泉を守るにはあまりにも


泉はいつか枯れ果てはしないか

誰かに汚されはしないか

真夜中の星影を映して

泉はただ玻璃の真名井に息を潜める


玻璃のモザイクを少しでも美しく

少しでも強固に積み上げて

人は誰もが泉を隠す

玻璃の真名井の底深く


  (2001 H13年 12月)


※ 真名井の泉は心の比喩として書きました。


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