3 わたしという存在

わたしは一羽の小鳥

翼の及ぶ空しか知らず

眼下の森に翼を休めて

日々のかて天地あめつちのまま

ただ黙々と生きている


わたしは一陣の風

生きるも死ぬも考えず

希薄な時間ときに同化して

昨日の夢の微睡みのまま

人々の上を行き過ぎる


わたしは一瞬のひらめ

遙か百五十億年の

悠久の時の流れの細波

わたしという存在を忘れ

静寂しじま宇宙うみに浮かんでいる


  (1985 S60年 3月)



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