第2話 アンケートは何処に?

 約束の日、一張羅のカジュアルスーツを着て、待ち合わせのホテルの前に来た。

陽が傾きかけてきて、少し冷えて来たかなと感じた時、背後で声がした。

 「坂本さんですか?」

振り返ると、小柄でショートカットの女性が微笑んでいた。

歳は僕と同じくらいだろうか、小柄で割と可愛らしい。

 「はい、そうです」

僕は少しシャイに返事をした。

 「では、こちらへどうぞ」

女性はホテルの入り口には向かわず、繁華街の通りへと進んで行く。 

僕は少し遅れて、女性の横に並んだ。

 「どこに行くんですか?」

 「少しだけ行った所になります」

その時僕は気付いた、昨日の電話のお姉さんとは口調が違う事に。

でも気楽な僕は、行先で昨日の女性ひとにインタビューを受けるんだろうと考えた。

僕が連れて来られたのは、オフィスビルの一室で、テーブルごとに仕切りを立て、個室のようなスペースが幾つも作られた部屋だった。

椅子をすすめられ、お茶が運ばれてきた。暫くすると、自分よりも年上の男性が僕の前に腰を下ろした。

 「初めまして、田所と言います」

男は僕に名刺を渡すと、白い歯を見せた。

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