恋愛アンケート

あずびー

第1話 お誘い

       ジりりりーーーン  ジりりりーーーーン

土曜日の昼間、電話のベルが僕を呼びだした。

携帯等の個人電話が無い時代。家に設置された固定電話機だ。

 「はい、もしもし」

 (坂本様のお宅でしょうか?)

受話器を取り上げた僕の耳に、若い女性の声が入ってきた。

 「そうですが」

 (洋治様はいらっしゃいますでしょうか?)

 「僕ですが」

 (突然の電話で失礼します。私、独身男性にアンケートのお願いをしているのですけど)

個人情報保護法が無い時代、僕の年齢、既婚未婚等の情報は、情報会社に把握されていたのだろう。

女性は僕に、結婚についての軽い質問をしてきて、その後彼女の有り無し、休日の過ごし方等を聞いてきた。

 「お姉さんは、休みの日はどうしてるの?」

二十歳そこそこの僕は、質問ばかりされるので、女性に逆に質問をしてみた。

 (私ですか、映画が好きなので、よく観に行きますよ)

 「どんな映画ですか?」

僕はお姉さんと、映画の話や、音楽の話題でもりあがった。

 (あのー、よろしければ直接会って、インタビューをさせていただけませか?)

 「ええ、大丈夫ですよ」

面白いお姉さんだと思い、僕は軽い気持ちで返事をした。

女性は待ち合わせの日時と、繁華街にあるビジネスホテルの前を指定してきた。僕はホテルのロビーでインタビューをすると思い、承諾後電話をきった。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る