第5話

俺には計画があった。

それは、俺が前世の記憶を思い出した時に決めた計画だ。

俺にはユニークスキルがあった。ユニークスキルとは、この世界で1人に1つきりのスキル。同じスキルを持つものはいない、特別なスキル。

俺はそれを持ってる事を知った。

理由は簡単だ。


それを発動し続けているからだ。


オレのユニークスキルは、『魔王バルデロ』という名前だった。そう、世界最強の魔王の名前のスキル。使い方は分からないが、何故か発動し続けるそれに興味を惹かれた。どうにかして自分の意思で使いたいと。

ただ、操る事は出来なかった。それに俺が魔力がないのは、どうやらこのスキルが全部持っていってるらしい。


もう少し俺に、魔力があればスキルを操れるのか?


そう思ってもみたが、それも全部持っていかれては意味が無いのだ。ならばやはりこのスキルを魔王バルデロについて調べるしかないかと考えついて計画を作った。そして俺は計画通り魔王の元まで行った。


なのに偽物だった?それで俺が魔王バルデロ?

それは俺のスキルのせい?それとも、本当に俺が魔王バルデロ?


頭の中で循環する疑問は解けることなく、ぐるぐると回り続ける。


目の前に転がる兵士達の死体。


《100体の悪魔の魂を確認しました。スキル発動条件が揃いました。悪魔の魂を使ってスキルを発動しますか?》


脳裏に聞こえた声。

ゲームでよくある、ナビゲーターみたいな…

俺はその時よく考えもせず答えたのだ。


「ユニークスキル発動『魔王バルデロ』―――――――――――――――――――――――――――――――――――」




………黒い。まっくろ。


いや、これは真っ暗か?

あれ、なんで俺こんな所に?

というかここどこだ?


《お答えします。ここはユニークスキル『魔王バルデロ』の精神体の内部の意識の中です。》


ユニークスキルの中?


《はい。 『魔王バルデロ』は、ユニークスキルの中で自我を持つ唯一のスキルです。》


自我を持つスキル?

そう言えば、俺の体は今どうなって


《マスターの体は只今、ユニークスキル『魔王バルデロ』が憑依しております。》


自我持ってるからできんのか?

じゃあ俺はどうすりゃいんだ?


《憑依状態を解いて肉体を取り戻すことが出来ますが、どうしますか?》


ん?なんだ、できんじゃん!

じゃ、取り戻してくれ!


《了解しました。マスターでは、準備に移ります。》


…あれ?今思ったが、俺と喋ってたのは誰だ?


《準備が整いました。憑依状態を解きます。》


あぁ。光が差し込んできた。

あー、やっと身体が戻ってくる。って言っても、数分程度しか経ってないけどな。


ふぅー…と一息ついて目を開けると、そこには死体の山と、火の嵐、そして、燃える魔王城。

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