迷いは大切なようで大切にできない

「ガチャン…」


……疲れた。


俺はこんなとこで疲れて。なにしてる

愛想は必須

ただ愛想良く挨拶して愛想良く注文聞いて愛嬌を持って見送る。

居酒屋を否定してる訳ぢゃない

俺がしてるのはただそれだけ。それだけの事で一笑懸命誰かの為にお金を稼いでいる人達には俺が疲れたとか、なんとなく申し訳なく思う。



そう言えば

恵那が出店に来た時

俺の態度はどうだった?愛嬌持って返せたか…


…してないな。とりあえず全買されてビビって

てかあの時めっちゃ可愛かったな。恵那

今も可愛いけど

「ブー。ブー。ブーー」

…恵那?そういや返事来てなかったか


(また家がいい?外がいい?♡恵那はどっちでもいーよ♡)

基本仏頂面の俺になんでいつも。こんなに…


なんとなく申し訳ない

そんな俺の根暗感を♡乱用で自分の気持ちを隠して接してくれる恵那

ホントは体捕したいとこだ!

会わなくなって3ヶ月…それでも変わらずこうやって連絡をくれる

…こういう子を大切にしないといけない

ぢゃないとまた…


(えなこのすきなとこでいーぞ( ´,,•ω•,,`)♡)



俺は立ち止まる事を止めようと、返事した


とか言っても結局はなんらかの下心


「スコッ」

「…。」

……え?ゆー?……ホントこれ?

急すぎるから…なんか緊張…。

毎日このテンションで送ってやり取りしてたから…ある意味慣れてたあたし。



どっちにしよ

えーとえー……



「5分くらいたったっかなあ」

ホントは悩んでないし


ちょっとタイムラグは必要かなー。って

「スコッ」

(えなん家♡泊まれる?)


……ナヌッ!?


泊まり!


「ゴクッ」

いいのか?



…いいんでしょうか!?

…〇ビラさーーーん






「おつかれぇいやー今日のお客…

ありがとね茉子ちゃん…」

「仕事ですから♡」

「今日の分多めにしとくよ」

「やったぁ。ありがとうございます店長♡」


「そういやさぁお子さんどう?前の旦那さんとまだ揉めてるんだよね?」


「……。そーなんですけどね。」

「もう渡しましたっ♡あんだけ子ども思いなら大丈夫かなぁって♡」

大丈夫……



「それもまぁ……。悪くない選択だね。」


「はいっ

そしたらお疲れ様でした!」

「…ガチャン」


…疲れたぁマヂで。あのおっさんしつこ過ぎ…。

「カッカッカッカツッ。」

……東京って広いんだ…

全然会えない。会えててもわからない……か。

「ブー。ブーーッ」

「もしもし?」

「あ、茉子」

「なに?しつこいよ?」

「だって…。おれら終わりなの?愛斗だって居るのに。」

「だから渡したよね?ていうか子どもを理由にしないでくれる?そういうとこ…ほんっと嫌い」

「……」

「ぷーっぷーっぷー」


…なにかにつけて家事は手伝わないし子どもは甘やかすだけボーナス減って自分の買いたいもの買えなくなったら少しは稼げだの、であげく愛斗取り上げておいて?また私?何?道具ぢゃないから。まぢで

「あーイライラする。」






「カチッ…ふはぁ〜」


…なんかタバコがうまい……いつぶりだろうか。

この感覚?高揚感?わかりやすい言葉は知らん

小説でも読んで勉強しときゃよかったわ



(ずっと家にいるのもあれだし、昼間はなんか買ってやる♡)


これでいい…いやこれがいいっ。寂しさも辛さも…全部持って行ってくれるこの気持ち。

まぁでも…えなこの方が金持ち……だけど。トホホ




「シャーーーーーーーーーキュキュ。」

ゆーくん……どうしたのかな。昔の事とかなんにも話さないし、聞いてもないんだけど。

聞いてもないのにゆう人より…いっか♡

いいよね?





「…ガチャン」

「はぁ…」

私は我慢した方が良かったのかな…冷馬と一緒にいて愛斗と一緒にいてさ

家に帰って1人を感じる度に迷いと清々

でもあの時…何も出来ないまま流された私

……出来るなら…あの時からやり直したいよ。ゆう……。

癖でテレビをつけた

夜中でも普通に番組やってるのは、なんとなくまだ慣れない

「……え、今週の日曜から春の新作〇〇服フェアをシーサイドモール2階フロアで開催しますっ…………」


ふーん日曜か…最近服買ってないし



たまには行ってみようかな♡









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る