8月10日:ヘウレーカ ~へちまえり疎みし女よ令和四年 襟にいくさの過去あるを見る~

へ:へちまえり

う:うとみしひと

れ:令和四年

え:襟にいくさの

か:過去あるを見る



【雑記】

 アルキメデスが浴槽に入り、上昇した水位分の水と、沈んだ体の体積が同じと発見し、裸で叫んで街中を駆けた……と言われる発見の掛け声「ヘウレーカ」。エウレカ、ユリイカ等とも訳されます。

 ご心配なく。古代ギリシャで男性が裸で外にいても問題ありません(笑)

 ……なんてことはどうでも良く。


 素敵なカクヨム作品を発見した、という今日のお題。 

 https://kakuyomu.jp/works/16817139556583434921

 『椰子 -電車の女学校-』山口実徳さま


※書き直されて、現在はこちらのURLの様です。

 https://kakuyomu.jp/works/16817330649263647778


 カクヨムTOPページの一覧から初めて拝読した作者様。戦争中の広島での実話を元にされているので、当然、私も重さを覚悟してページを開きました。

 しかし、まだ戦禍に直接は巻き込まれていない女学生達の青春の一瞬が、刹那の表情が、零れるような会話が余りにも瑞々しく眩しいです。景色だけでなく、心模様さえ、色相、彩度、明度を伴って読み手に届くような文章。

 この後の大きなうねりは想像出来ますが、それに消されない程、確かに若い命とそれを取り巻く人々が刻まれます。



 昔、親戚にへちま襟が嫌いな女性がいました。私が着ていると心底、嫌そうでした。

 後に私は本を買えるようになると、貫頭衣から現代までの衣服の本を読み漁り、明治・大正・昭和の服装に関する校則や法令等を知ります。そして、やっと昭和十六年に制定された「標準服」を明確に意識しました。

 戦争期のドラマ等で、へちま襟は1つのテンプレートとしてありましたので、無意識的には私も知っていたと存じます。ですが、そのことと彼女の反応が子供の頃、私の中では結び付かなかったのですね。



 ご紹介させて頂きました小説も、そういったものを見えるようにしてくださる存在に私は感じます。

 下地にされている実話については私も「そういう女学校があった」という記憶があります。ですが、私の中で、ここまで鮮やかな形を結んだことがなかったのです。

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