6月3日:聘珍楼 ~平城のいにしへの音か鎮花祭 浪々の身に雨露は降りつつ~
へ :
い :いにし
ちん:鎮花祭
ろ :
う :
【雑記】
聘珍楼横浜本店運営会社が破産申請のニュース。今朝、中島敦の『聘珍楼雅懐』を引くツイートがタイムラインに流れ、知りました。
私にとって横浜中華街は近くて「違う」場所。冠婚葬祭でなく親戚が集う時、中華街へ何度か行きましたが、子供ながらやはり異国を感じたものです。
中華街で集まる時、父方は聘珍楼でした。他の店は不可。先祖の誰かが清国時代の香港やマカオへも行ったようなので、味に慣れていたのでしょう。
ところが、母方は華正樓。何事も
表向きは女性側が引くのですが、その分、本音では収まらない方々もいまして。裏で小説ネタに使えそうなことが幾つも。
振り返れば、大人げない、の一言です。
中国人が地元贔屓するなら判らないではありませんが、外国料理、良いとこ取りで食せば良い、と思われません?
例えば、パスタはボロネーゼ限定、ジェノベーゼなど草……のように言い始めたら、食道楽にだけはなれません。
只、そんなことも存在してこそ。
もう選ぶことが出来ないのですね。
十年以上、杏仁豆腐以外の中華を頂いていませんが、閉店と知ると寂しさがあります。
ご当地ラーメンのサンマー麺の中に宿っている、と思うことに致しましょう。
【語意】
平城:平城京。
鎮花祭:花の散る頃、疫神が増えて病がはやる、という考えから行われた祭祀。三輪の大神神社の鎮花祭は奈良時代には定められていた。花は桜だが、他を使う祭もある。奈良では六月、疫病を鎮めることを祈る三枝祭があり、この三枝は百合を指す。
浪々:水の流れること。あてもなく彷徨い歩くこと。仕える先のないこと。
雨露:雨と露。広大に恵みの行き渡ること。
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