4月17日:復活祭 ~復刊のかなはぬ本の集ふる地『さるびあ街』の色あたらしき~
ふつ:復刊の
か :かな
つ :
さ :『さるびあ街』の
い :色あたらしき
【雑記】
本日は西方教会のイースター。
私にとって復活を喜ぶと言えば、古本でしか読めなかった書物の復刊です。
因みに、東方教会は暦が違う為、復活祭の日もずれます。ローマ帝国からの歴史も関わり、「キリスト教世界」で括れない部分も。
私、氏神は八幡様、法事は主に天台宗と浄土宗と浄土真宗本願寺派と日蓮宗、幼稚園はカトリックという育ち方をしております。
日本らしい宗教的ゆるさですが、幼少期の擦り込みは効くとみえ、無意識に合掌すると親指をクロスさせています。そんな子供は映像で正教会の十字の切り方を見て、間違えたのかと思いました。
それが「正しい」と知ったのは、日本でカチューシャを一般名詞化させた『復活』の、舞台シーンを見た時と存じます。トルストイのお陰で一つ賢くなれました。
当のトルストイはその『復活』を理由にロシア正教会から破門されましたが……。
トルストイ、遠目に見れば、面白い人です。
元々、一種のパリピでワナビ。哲学の実践として大学中退した後、遺産元手にあれこれして上手く行かず、小説を書き、軍人の兄についてコーカサスへ行って彼も志願します。そして、戦争中に退役を申請して当然、受理されず、戦地暮らしを続けた、とか。
いろいろツッコミを入れたくなりますが、この位でないと時を超える本は書けないのかもしれません。
実際、皮肉なことに従軍が作家トルストイを生み出しました。それまでの彼はエタる人。
トルストイは "
訳すとコザック。ロシア貴族とコーカサスのコザック娘の恋愛ジャンルです。
コザックと聞いて何かが思い浮かぶ日本人は十中八九、コザックダンスではないでしょうか。
そして、それをロシアと結びつけるかもしれません。十代の私はそうでした。
しかし、コザックダンスは今ではウクライナが自らの伝統文化と唱えるホパークがルーツ。
コザックはポントス・カスピ海草原、つまり黒海からカスピ海辺りで組まれた集団でウクライナにも拠点がありました。そして、ホパークはロシア帝国時代に禁止され、衰退。
つまりロシア貴族とコザック娘の恋は、身分だけではない差異が土台にあります。
トルストイがエキゾチズムを踏まえた "Казаки" をロシア語で出版した一方で、同じ年、ロシア帝国ではヴァルーエフ指令によりウクライナ語の本は禁じられるのですが。
これが後にエムス法で厳しくなり、ウクライナ語での舞台、歌も認められなくなりました。
いろいろと印象的な "Казаки" 。
カードで大金をすった30代半ばのトルストイが原稿料を前借りして借金返済にあてた為、10年越しのプロットが小説として完成した、なんて裏話も。
この短編、岩波文庫から『コザック』のタイトルで出版されていましたが、今は古本でしか読めません。
光文社文庫版は電子書籍で手に入りますが。紙の本は減るばかり。
ユーザビリティの面で電子書籍は素晴らしいですが、時を超える保存の面から紙の本は重要です。
岩波さーん、光文社さーん、今こそ復刊の時では、とネットの片隅(しかも角川系)で叫んでみます。
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