4話 ペンギン…美味しい

 「うん?…朝?…じゃないな、もう昼だったわ」

 ペンギン狩りにいそしんだ挙句、PCを開いたまま寝落ち…。気が付いた時にはもう昼の13時30分になろうかという失態を晒してしまった。

 「…にしても…ペンギン美味しすぎかっ!」

 昨夜ペンギン型モンスターに遭遇した私は、難なく狩りきることに成功。図鑑を確認するに、どうやらレアドロップまで入手したようだった。そして何より、1体倒しただけで、Ppが50ももらえてしまった。

 倒したペンギン型モンスターの名前は、AHペンギン二等兵。名前から察するに、怨敵エンペラーとは雲泥の違いで雑魚、にあたるモンスターだろう。

 だというのに報酬がこんなにあると考えれば…エンペラー、恐ろしい子。期待に胸が張り裂けそうである。

 ファンタジーな世界観のRPGでペンギンを狩る…。いまだに違和感しかないわけだが…。

 「あの紗耶香が取り乱す訳はよく分かった」

 Ppは今回も幸運値に全振りするとして…。

 うん、帰り道わかんね。

 「うーん、あんまり気乗りしないけど…」

 えっと…。フレンド画面の…。あ、いたいた、紗耶香を選んで…。よし。

 『紗耶香、ごめん。迷子なってから迎えに来て…。』っと。

 『うん?あ、小春か。いいけどどのあたり?』

 「どのあたりなんだろ、ここ」

 『場所が…わかんない』

 『はぁ?じゃあ無理ね、諦めなさい』

 そんな殺生な…。

 はてさて一体どうしたものか。

 そこへ通りかかった1体のペンギン…。

 「あ、ペンギン!!」

 見つかった…。

 「死にさらせ―!」

 言葉遣いが女の子に似つかわしくない?いいえ、気のせいです。女の子だって実際はこんな感じなんです。幻想を押し付けないでください。

 

 〖獲得条件を満たしました プレイヤー名 橘花が称号 ハンター を獲得しました〗


  【ハンター】

  ペンギン型モンスターに与えるダメージが1.5倍

  ペンギン型モンスターの逃走確率半減

  クリティカル発生率1.5倍


 「それにしても…。ここ、ペンギン出やすいとか?」

 昨日あれだけでなかったペンギン型モンスターが、ほぼ同じ場所でまた出現…。果たしてこれは偶然だろうか?

 「…って忘れてた、また世界に称号の獲得ログ流れちゃってる」

 設定は…うーん、ないか、残念。

 「あんまり目立ちたくないんだけどな…。あ、他の人のログを見ないようにはできそう」

 これでよし。

 「うん、今まで流れたの見てないけど、見たら名前から何となく察しちゃうかもだしね」

 ってあれ?何か大事なこと考えてたような…。まぁ、いいか。

 「忘れないうちにPp振っとこー」

 

 現在のステータス

 【橘花】Lv.18

  物理攻撃  266(22+244)  物理防御  259(15+244)  

  魔法攻撃  254(10+244)  魔法耐性  257(13+244)

  移動速度  263(19+244)   幸運    488(288+200)

  最大HP   376(132+244)  最大MP   279(35+244)

  最大SP   297(53+244)   筋力    271(27+244)

  アイテム所持可能数  350

  

  スキル数 9 獲得称号 16


 「ふふふ、幸運がほぼ500まで来たぞ。…にしても、ステータスいきなり上がりすぎよね。…やっぱり、ペンギンのせい?」

 うん、ペンギン…美味しいわ…。

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