3話 ペンギンは敵
紗耶香が満足そうに帰っていったのを見送った私は、深くため息をつきながら、天井を見上げていた。
あの後どうなったか?それはもちろん、なんなくチュートリアルを終わらせ、The・RPGって感じの魔物を倒しましたとも。
え?ペンギン?…貴様だけは許さん。
まさかのチュートリアルで死に、紗耶香に笑われるという屈辱…。思い返すだけでイライラしてきた。
「…決めた、ペンギン
配信者などが口にして、よく後悔している類のセリフを吐きながら、私は画面をにらみつけた。
…だが、困ったことにアレ以来ペンギン型モンスターを見かけない。あいつは本当にレアだったのだろう。
まぁ、いいや、しらみつぶしに全部倒してこ…。
ゲーム内実績を解除すれば、Pp(パラメータポイント)がもらえるシステムらしく、それを使ってキャラクターのパラメータを伸ばす。と、紗耶香には聞いた。
しかしながらAHは、実績解放の方法や、どんな実績があるのか、それすらもわからないという。
なので軽い気持ちで、実績解放もかね、私はキーボードをたたいていた。
…結果から言おう。2時間叩き続け、何の成果もあげられませんでしたぁぁぁぁ。
いや、Ppは若干たまったのよ?だけどペンギンの影すら見てないし、よくわからないマップまで来ちゃってるし、さっきまでちらほら目にしていた他プレイヤーの姿もない。
あれ?これ、私迷子じゃね?
お、おちつけー、とりあえずPp振っとこ。
自分にそう言い聞かせ、私は獲得していた132Ppをすべて幸運に振った。
「やっぱり、誰もしたことがないようなステ振りがいいよね。それにアイテムコレクター癖あるから私。うん、幸運に振ろう」
現在のステータス
【
物理攻撃 21 物理防御 15
魔法攻撃 10 魔法耐性 13
移動速度 18 幸運 143(11+132)
最大HP 120 最大MP 35
最大SP 53 筋力 27
アイテム所持可能数 350
スキル数 8 獲得称号 13
「…うん、まだ自分が強いのか弱いのかすらわかんないね、これ」
〖獲得条件を満たしました プレイヤー名 橘花が称号 妖精の祝福 を獲得しました〗
「妖精の祝福?なんかすごそうなの手に入れたな」
わざわざ獲得アナウンスが出るアイテムや称号は大抵がレアなものだろう。…にしても、全プレイヤーに公開されるのね…。なんか恥かしいから、消せないか設定探しとこ…。
「…って、あ!ペンギン!!」
視界にちらっと映り込むは、怨敵…ではないが、ペンギン型モンスター。
フッ…、お前に罪はないが、その姿で生まれてきたことを後悔するんだな!
獲得した称号の説明すら読まず、小春はペンギンを狩るべく短剣を握りしめていた。
【妖精の祝福】
レアモンスター出現率上昇、レアドロップ率上昇
幸運値の10分の1を全ステータスに付与
即死耐性、麻痺耐性、毒耐性、睡眠耐性、幸運値2倍
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