第8話

放課後。孝太郎と海(孝太郎に便乗してちゃっかり文学部に入部した。)は新島に呼び出され、彼女に付き添うことになった。

道中、三人はダラダラと喋りながら新島の目的地まで歩いていた。

因みに孝太郎はまだ仮面をかぶっている。

「孝太郎。そんな人と喋れないのに、普段はどうやって過ごしているんだ?」

「俺、女性の方が喋れないんですよ。うちのクラスは理系で男子ばっかなのでまだなんとかなります。」

「海は女子だろ?」

「こいつは家族みたいなもんなんで。」

「孝太郎、陰キャだな。」

新島にそう言われて孝太郎はきまり悪そうな顔をした。

「...否定できない...」

「ていうか、まず、孝太郎はなんでそんなコミュ障になったんだ?」

「あー先輩そのことは聞かないでやってください。」

「...すみません、思い出したくなくて...」

「そ、そうか...すまないな...」

「いえ、大丈夫ですよ。」

「そういえば、先輩。私達どこ向かってるんすか?」

海が言った。

「もうそろそろ着くから待っておれい!」

新島のその一言からほんの数分後。

「ここだ!!」

新島が意気揚々と言うと、文学部一行の目の前にはガラス張り、二階建ての建物があった。

「図書館??」

「ああ、そうだとも。」

「ここに何の用事があるんですか?」

「今日は月に一度、私達文学部主催の読み聞かせ会が行われるのだ!!」

「読み聞かせって、誰に?」

「特に対象を絞っている訳ではないが、いつもは大抵小学校低学年あたりの子供が多いな。」

「わざわざそんなことやるなんて、パイセン、意外に面倒見いいんすね!」

「わりと子供は好きだからな!」

「先輩も色々子供みたいですけどね。」

孝太郎は自分より20センチほど背の低い新島を見て言った。

「まだまだ発展途上だ!!これでも毎日牛乳、豆乳飲んでるんだからな!?」

怒り方も子供っぽい新島であった。



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