第6話

「ええ、この状態で話すのか、有馬少年よ?」

新島と孝太郎は背を向け合っていた。

「...有馬だとこの学校に三人もいるんでごちゃごちゃになりますよ。」

「では孝太郎、私は別に君の視界に入らなければいいわけだから普通にしててもいいのでは...」

「見られてるって意識すると話しづらくなっちゃぅので...」

「はたからみれば凄くシュールな光景だけどね...」

海がボソッと呟いた。

「とりあえず、ごめんなさい。少し驚かそうと思っただけなのだが...君がそんなに驚くとは思わなくて。」

「いや、いいですよもう落ち着いてきましたし。それよりお水ありがとうございます。わざわざ気を遣ってくれたみたいで。」

「どういたしましてだな。」

「ていうか、昨日どこで私達がここに来たこと知ったんです?」

海は不思議そうに聞いた。

「ええとだな...その...今日と同じ場所に居た...」

「それって、もしかして、掃除ロッカーですか?」

孝太郎がまさかという表情で言った。

「いやそんなわけないに決まってんでしょ〜」

「いました。掃除ロッカーに。」

「「え?」」

「いやぁ、君たちを驚かせようと思ったんだけど、なんか集中して本読み始めちゃったから、邪魔するのも申し訳ないなぁって思って...」

「じゃあ、あの時間ずっとロッカーの中にいたってことですか...?」

「まぁ...そういうことだな...」

「よくそれだけ長い時間あんな小さいロッカーの中にいれましたねぇ。」

海は最早感心していた。

「新島先輩、結構チビですもんね。」

「チビって言うなぁ!チビって!」

新島は思わず立ち上がり、孝太郎の方を振り返って言った。

「ははっ!」

新島と海は少し焦って表情でいたが、それに反して孝太郎は新島のリアクションに笑っていた。

「あれ?孝太郎?平気なの?」

海が戸惑った様子で聞く。

「いや、新島先輩のリアクションが可笑しくて、思わず笑っちゃった。」

「じゃあ向かい合ってもいけるんじゃね?」

海がそう言うと孝太郎の頬に両手を合わせ、新島の方に顔を向けさせた。

「オエッーー!!!」

——やっぱ無理だ!!

新島と数秒顔を合わせた後、孝太郎は思い切り吐いてしまった。

新島はゲロをぶっかけられたまま、立ち尽くすのであった。

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