第4話
登校中。
「文学部の友達を作れなんて言ったって部員ほぼ一人じゃねぇか...しかもその一人どんな人かわからないし...」
「お姉ちゃんから名前だけなら聞いてるよ。」
「なんて名前?」
「新島芽衣。三年生らしい。」
「じ、女子かよ!?しかも先輩!?」
「まぁまぁ、私も手伝うから。また放課後ね!」
「最悪だ...」
放課後。
「にしても新島先輩?ってどこにいるんだ?」
孝太郎が言った。
「私の知ってる先輩とかにも聞いてみたんだけど、みんな新島先輩は放課後はいつも部室にいるって言ってたよ。」
「昨日たまたまいなかっただけなのか?」
「もしかしたら私達が気付いてないだけで部室にいたんじゃ...」
「昨日結構長い間部室にいたけど、あれで気付かないなんて事あるか?」
——昨日は部室にあった西野涙香の本を一冊読み切るほどあそこにいたんだ。あの状況で部室に俺と海以外に人がいたとして気付かない方がおかしい。
「ん〜。ないな。」
「まぁとりあえずまた部室に行ってみよう。」
「そうだな。」
二人は階段を降り、教室のある一号館から連絡通路を渡って二号館の文学部の部室へと向かった。
ガラガラガラ...
重い扉を開けると、やはり昨日と同じような人気の無い部室に着いた。
「やっぱ誰も居ないよね...ここ。」
海は部室をジロジロ見ながら言った。
「いないな...大体ここ、埃っぽいし、人が出入りしているようには思えないけど...」
「私、ちょっとトイレ行ってくるね。」
「わかった。」
——学校に来てから他人が同じ空間にいる事への不快感はほぼ無くなっていた。喋ることはできなくとも、それはそれで成長したということだろう。中学生の頃は家族とも喋れなかったんだから。
「私がトイレ行ってる間に誰か来た?」
海が戻ってきた。
「いや誰も来てない。」
「ていうか、なんかこの部屋埃っぽいしちょっと掃除しようよ。」
「そうだな。」
———掃除ロッカーは...これか?
ガチャッ
「っわ!!!」
「ギャァアアア!!!!」
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